About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

これ、とっても私にとって大切なテーマです。

私の大きな叶えたいことの一つに、「日本の若者の自殺率を減らす」ことがあるんですが、ダイレクトに関連することだと思っています。

日本人は、褒めベタ、褒められベタ。

ここの意識をちょっと変えるだけで、一つずつ何かが変わってくるはず。

このブログでは、子どもを褒める方法について考えてみたいと思います。

日本人の美徳が自己肯定感を低くしている?

ベッドマットを使っての遊びは、何年も続いたなぁ。その隙に、掃除機をかけて、イッチョ上がり!

日本人の多くがもつ、他者を尊重する心、思いやりの精神、調和と協調、自然への畏怖。

これらは、日本人の誇りであるし、海外に住んでいると、尚のことそう感じます。

これらも、時代と共に変化しているし、特に若い世代での価値観は、より変わってきているでしょう。

それでもまだまだ、日本人は、謙遜の文化も一般的で、自らを下げることが美徳と感じる人が多いです。

確かに、このおかげで安心安全な国でいられるのだから、この美徳精神は、大切なところでもあります。


その上で、教育の観点から、もう一度考えたいことがあります。

「自己肯定感を高める」ことは、長らく言われていること。

マズローの欲求五段階説、知っている人も多いかもしれません。

  1. 1
    生理的欲求
  2. 2
    安全の欲求
  3. 3
    社会的欲求
  4. 4
    承認欲求
  5. 5
    自己実現欲求

1番から順番に、土台として築かれていき、それが満たされて初めて、次の欲求が起こるというものです。

自己肯定感は、何かを達成するためには欠かせない土台。

多くの日本人は、1,2は、満たされている人が多いと思います。

(もちろん、真の意味では、満たされていない人もまだまだいるのですが、ここでは割愛します。)


3,4レベルの欲求になってきたとき、自己肯定感があるかどうかで、大きく変わってくると思います。

自分は素晴らしい、何にでも挑戦できる、きっとできるはずだーと、自分で自分を信じられるか。


マズローは、「他者から認められることよりも、自分自身を評価できることのほうが重要」だと述べています。

私もこれには大きくうなづけけ、教員時代から、授業の中で繰り返し意識して取り組んできました。

この段階に達するために、その子自身が認められ、受け入れられることが必要だと思うのです。

自己肯定感の塊の娘。毎日の学校が、誕生日と同じくらい楽しいそう。「死んじゃうくらい楽しみ。」が口癖。

アメリカ人のポジティブさは本物

私がアメリカに来て、一番驚いたことは、ポジティブワードの多さかもしれません。

渡米して間もなくオンライン授業になったので、当時一年生だった娘と一緒に、学校の授業を受けていました。

(何しろABCも分からずアメリカ生活が始まったので、本当にちんぷんかんぷんの数カ月だったのです。)


その先生から飛び出すのは、褒める言葉と、その子を認める言葉のオンパレード。

「Good!」「So nice!」「Good job!」「Hard worker!」「You're right !」「Well done!」「You did it!」

などは、本当に何度言っているか数えきれないくらい聞きます。

他に、こんなふうに、「自分はこう思う」という方向からの言葉掛けも印象的でした。

「I love it!(それいいね!好きだわ。)」


よく言われることですが、アメリカ人の生徒は、よく質問をするし、手を挙げて意見を言います。

その度にお決まりのように言われる言葉が、「Good question!」とまず褒められる。

自分が発信して、それを否定されることが一切ないんです。

謙遜の意味で、自分に対して否定的な言葉を述べた時には、「I don't think so.」と言った後、褒めてくれます。


何をしても、何を言っても、どんな結果になっても、いい言葉しか返ってきません。

例えばもし失敗してしまったら?

「Good try!」です。

褒められると同時に、先ほどの五大欲求の「2 安全の欲求」も満たされていることに気付きます。

根本的な日米の教育の違い

「アメリカの学校が世界で一番好き」と言いながら、日本に一時帰国して通った学校では、「やっぱり日本の方がいい」と、常にその時が最高の娘。

教員目線から気づき、驚いたこともあります。

皆さんの受けてきた日本での授業の内容を思い出してください。

算数で、宿題で間違ったらバツになり、正しい答えを出し直したでしょう。

国語の作文で、原稿用紙の使い方や漢字を間違えたら、訂正されて、三回書き直したかもしれません。

私の教えていた音楽も同じです。リズムが違えば正しいものを教えるし、音が違えば指摘しました。

できるだけ間違いなく、正しく、みんな一緒の答えに近づける教育を受けてきたと思います。


それが、アメリカでは違うのです。


算数の宿題で答え合わせ?ーありません。

「考えることが大事だから。」(と言いながら、ちょっと面倒に感じているところもあるかもしれません。)

writingの授業で訂正される?ーありません。

「Good job!  Capital letterに気を付けてね。」(の一言で一括感想。一つ一つ訂正なんて、絶対しません。)

合唱の時に正される?ーありません。

「ここ、こんな感じじゃなくてこんな風にね。」(と、あくまでも何となくの説明で終了。)


日本人は勤勉だし真面目だし、完璧に細かく訂正して、全員を完璧な解答に近づける努力をします。

何をしても、とりあえず(満点でない限り)何かしらの訂正や否定(ではないのですが。)をされます。

これを10年以上、毎日訂正されるのと、何を言ってもやっても「Good!」の一言で返されるのは、大きな差を生みます。


ただ、私はアメリカの教育が良くて、日本の教育が間違っていると言いたいのではありません。

こうして教育されてきた日本の偏差値、運動神経、芸術の能力の高さは、本当に世界トップだと思います。

(ただし、小中高まで。これ以上の話は、また別の回で。)


アメリカの授業の内容や体育、音楽、美術の時間の内容なんて、日本のレベルと比になりません。

日本人ってすごいんです。日本の教育レベルって世界トップレベルです。

(事実、アメリカのトップの大学では、人種によって倍率が異なり、アジア枠は一番難関です。)

ただ、完璧を求めることも時に大事ですが、褒めるチャンスはもっとあってもいいと思います。

目立ったモン勝ちの合唱。みんな自由に振り付けを付けて、自信満々に歌って踊ります。歌詞を見るも見ないももちろん自由。

私たちにできる褒める言葉掛け

日本の学校教育を否定しても、恐らく何も変わらないし、自分の子どもが変わることにもつながりません。

そういう方向は止めて、私たちが家庭でできる、子どもを伸ばす声掛けを考えましょう。

何も難しいことはなく、家庭の中で褒める、友だち同士で褒め合うだけ。

アメリカ人の親に、「あなたの子どもってすごい!」というと、

「そうでしょ、素晴らしいのよ。この前こんなことがあってね・・・。」と更に色々聞かせてくれます。


渡米して間もなく、「あなたってOOよね!」と褒めてもらうことがあったのですが、

日本的に「いやいや、そんなことないよ。」と答えると、全力で「OOよ!」と再度伝えてくれました。


私も、人が好きだし、周りは魅力的な人ばかりだし、褒めることも多いように思いますが、

「そんなことないよ。私ってこうだしこうだし、、、。」と否定されるより、

「ありがとう!あなたのこういうところも素敵よ!」と言われたほうが、俄然気持ちがいいのです。

自分が良かれと思って本心で褒めているのに、それこそ否定されるのではなく、受け止めてもらいたいのです。


まずは、私たちが変わることが大事。

自分が褒められたら、受け止める、感謝する。

自分の子どもが褒められたら、受け止めて、感謝する。

そして、相手のいいところや、相手の子どもを褒める。

そういう伝染って、とっても素敵だと思うんです。


どんな人にも、いいところもあるし、そうでないところもあります。

みんな当たり前に分かっていることなのに、なぜか出てくる言葉や話題は、プラスの内容が少ない。

日本は、上に立つ人、ちょっと飛び出た人を、とにかく引っ張り落とす場面がよくあります。

私は、昔からそれがとっても苦手。

もっと、みんなで「すごいすごい!」と言い合えば、互いに高め合えるのになぁと思います。

優しくて頑張り屋さんで、楽しむ力や熱中できることをたくさんもっている、素晴らしい子どもたち。

人のいいところを見つけ、自分のいいところを認める

嫌なところを見ても、何も生まれません。

まずはたくさんいいところを見つけて褒めると、互いに気持ちよくなれるはず。

そういう習慣づけをしていくことで、きっとプラスの言葉の連鎖が生まれるはず。


私にも、たくさんいいところと、そうでないところがあります。

だけど、私は唯一無二だし、私のいいところは、一番私が知ってる。

(夫にも知っていてほしいけれど。)


できないところや苦手なところは、家族や友達、周りの人にサポートしてもらいたい。

私も同じように、誰かの助けになれる存在でありたいし、そうして私の存在も認めてもらえる気がする。

そうしてみんなみんな、互いに助け合って、そして家族が、学校が、社会が成り立っているのです。


あなたは、あなたの子どもに、自信をもって生きていってほしいはず。

できるとかできないとかじゃなくて、前に進んでいくエネルギーをもってほしい。

そのためには、まずは自分がそうあるべきだし、自分からそういう言葉を発していくことが近道。

完璧である必要はないし、そんな人はきっといない。

悪いところを見るより、いいところを見つけて、それを相手に素直に伝える。

「あなたのこういうところ素敵!そういうところ好き。さすがだなー!」って。

そして、そういう言葉をもらったら、「ありがとう!嬉しい!」って答えてみよう。

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