About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

「偏差値だけではない。」もちろん、その通り。そして、頭を賢くすることも、同じように大切です。我が家でやってきた、勉強習慣の始め方、続ける方法、そして、宿題の取り組み方、楽しみ方などをお伝えします。

勉強スタート!

双子が三歳のお誕生日の日、勉強習慣が始まりました。

「三歳になったら始めるよ!」と、あらかじめ予告しておいて、わくわくを高めます。

毎朝、起きたらすぐに、ほんの少し机に向かう習慣を付けるのです。

それこそ、5分もやれば花丸!


線をなぞったり、ぐるぐる書いたり、やがて平仮名やカタカナ、そして数字に親しみます。

生まれたばかりの娘もいたので、教材を選んだり準備したりは、一切なし。

紙と鉛筆だけ準備して、あとは、私が自由にあれこれ、その日の思い付きで1分で教材を作ります。

なんせ、自分にとっても初めての試み。

準備に時間が掛かったり、手間がかかっては、継続ができません。

テストでいい点数を取るためのものではなく、机に向かう習慣を付けるのが目的なので、何でもあり。


私が勉強の流れで大切にしていたのは、毎日「読み書き計算」の寺子屋方式と、「暗記」の4つ。

小さい頃は、これらの基礎を固めることが大切だと思っています。

日本の教育を受ける上で、机上の勉強は、楽しんだもの勝ち。

主に、本は寝る前に読んでいたので、朝は、「書き」と「暗記」がメイン。

それに、余裕が出てきたと感じた時に、「計算」の流れも加えていきました。

(暗記については、別記事をどうぞ。)

コツコツ毎日続けた「書き」の宝物。はじめは、なぞり書きもたくさん。

一緒に座って、最後まで見守る

習慣にするために、大事なことがあります。

それは、大人が一緒に座り、一緒に勉強に向かうこと。


どれくらいの時間が必要かは、その子にもよるけれど、うちの場合、息子は小学校に入る頃まで。

そして、娘は、10歳になったころから、少しずつ離れられるようになってきました。

私にとっては、10年ほど、ずっと毎朝子どもと勉強を続けたことになります。


3歳で始めたころは、鉛筆を持ったり、紙をおさえたり、消しゴムで消したり、もちろんずっと付きっ切り。

少しずつ子どもが自分でできるようになってきたら、褒めて、勇気づけて、最後は大きな花丸を付ける係。

「すごい!できたね!さすが!わー!やったやった!」と、頑張っているその瞬間を、認めていきます。


さらに自立してきて、学校の宿題やらをやる頃になっても、子どもによっては、そばで見てくれる人がいることで、頑張れる子どももいます。

娘が、まさにそのタイプだったので、私は、ずっと横に座って、娘の一挙手一投足に気を配っていました。


分からない問題があった時、親を呼んで、来てくれるのを待っていたり、親のところに行って、仕事の手を止めさせて質問するような面倒なことがあると、一気に気持ちが落ちます。


根気よく、子どもがやっている手を見ながら、横で見守っていくのみ。

やがて、時期がくると、座っているだけでよくなったり、短時間なら席を外せるようになり、そのうち、一人で勉強できるようになっていくものです。


確かに大変に感じるかもしれないけれど、このわずかな時間で、その後の習慣が付くと思えば、お安いものかも。

無料教材もありがたく使用。「くりーむ、ようかん、とんぼ」に感激。

10年使った手作り時計

勉強の習慣もついてきた頃、少しずつ時計を読む練習を始める頃となりました。

いつも通り、私の「大きな時計を作って!」というアイデアを、夫が叶えてくれるという我が家の流れ。

裏には、子どもたちの好きなようにお絵描きしてもらって、我が家の時計の完成。


「勉強ボックス」に時計を追加して、毎日1分ほど、時計を学びます。

毎日、短針を動かしながら、「1時、2時」と唱え、長針を動かしながら、「1分、2分」とつぶやきました。

やがて、少しずつ時計を読めるようになってくるのです。

双子が使い終わると、娘が譲り受け、少しずつぼろぼろになってきました。


そろそろ役目も終わりかなぁと思ったころ、算数で、「全部で何分かかった?」という単元がやってきました。

結局、同じように、双子と娘の順で使い続け、10年の命を全うしてくれました。


毎日の勉強ではもちろん、時には実家や旅行にも持って行った、我が家の時を刻んでくれた思い出の時計です。

手前の時計が、うちで10年近く活躍してくれた手作り時計。これから絵が描かれたり、自分たち風に変貌を。

「音読、計算」の宿題への工夫

小学校に入ると、もれなく宿題のチェックが入ります。

この頃、息子の友達のお母さんから相談されたことがあります。

「宿題をやっていないのに、やっていると嘘をつく。見逃していいものか。」と。


これも、子どもにどうあってほしいのか、宿題への取り組み姿勢など、今後を決める大事な時期です。

私は、学校から帰ったら、(もしくは仕事から帰ったら)まず宿題をさせていました。

音読であろうと、計算であろうと、必ず私の前ですることが条件。

「正しい読み方、計算が合っていることが目的」だからと、初めに伝えました。


そして、国語は、一言感想を書くようにしました。

「すごいね!」「疲れている中頑張りました。」「おじいさんの話し方が上手!」などなど。

これは、中学生になっても続けていました。

先生は読んでないかもしれないけれど、子どものやる気が少しでも出ればーとの思いからです。


計算は、毎回時間を図り、裏に表を貼り、グラフにしていました。

やる気がない時は、5分ほど掛かったり、ノリノリの時には、最高記録を狙ったり。

先生のためでなく、子どもに、工夫する方法を見せたり、気持ちが上がる方法を試そうとした結果です。

小学校6年間と、中学校になっても、一言感想は続けています。

掛け算を暗記して早く答えたら、やり直し?

計算のスピードが大切かのような内容を書いたその次に、こんな話もあります。

娘が小学校2年生の頃、大きな衝撃を受けたことがありました。


アメリカの小学校で、「2人が3つずつ持ってる。全部で何個?」の問題に、娘がこう答えました。

2×3=6 これに、「Show to your work」と先生のコメント。

これがしばらく続いたある日、先生から、面談しようと言われました。

「覚えた計算を書くのではなく、どうして6になったかを、絵や図で示してほしい。」と。


衝撃でした。

日本では、早く正確に計算することが求められ、アメリカでは、どうしてそうなったかが大切なのです。

なぜ、どうして、そうなるかの過程を、自分の言葉で説明することを求められることが、なるほどなぁと面白い違いでした。


じゃあ、日本で求められる、計算の速さは、必要ないのかと言うと、そういう訳ではありません。

クラスの中で、日本人含むアジア人は、基本的に計算が早く、その中でもインド人のレベルの高さは目を見張るものがあります。

現に、アメリカの有名私立大学では、人種ごとに合格点が異なり、アジア人は、一般的に白人より高得点を取らなければいけません。

日本人は日本人の強さを持ちながら、様々なジャンルでの勉強が必要なのだろうと思います。

ペーパーテストを得意とする日本人と、日常のDIYやらに数学をうまく取り入れて理解するアメリカ人の違いが、ここにあるのかもしれません。


やがて、子どもたちは、日本人学校と現地校を、うまく使い分けていくことになります。

アジア人=賢い?

子どもたちは、渡米してからずっと、現地校(アメリカの学校)と日本人補習校の二つに通っています。

日本人補習校は、毎週土曜のみ開かれ、国語と算数の二教科を学び、多くの宿題を抱えます。

これも、毎日の勉強習慣があったおかげで、そこまでの負担なく、継続することができています。

今では中学生ですが、起床後、登校前に30分ほど毎日机に向かう習慣は続いています。


現地校では、白人を中心に、様々な人種の生徒がいます。

友達が、勉強を教えてと言ってきたり、テストで盗み見されることもあるようですが、理由を聞くと、「アジア人は賢いからな。」と言われるようです。

二つの学校に通っているのは、永住組の日本人にとっても、よくある話ですが、

現地の友達からは、現地校の勉強や宿題に加えて、日本人学校にも通っていることで驚かれます。

日本人と言えば、賢く、Hard worker(努力家)が多いという印象はあるようです。

学校のイベントで、作品を発表する息子。日本と求められることがまた違うことが楽しい。

夫婦の分担

私は、主に子どもたちの基礎的な学びの姿勢をサポートしたり、宿題の管理や、日々の勉強を見ています。

一方で、夫は、クリエイティブな面をサポートし、楽しませるためにあれこれ工夫してくれます。


低学年の頃は、近所のお友達も集めて、ロボット教室のようなことをしたこともあるし、遊びの中で、ピタゴラスイッチのような迷路を作ったこともありました。

生活の中で、クリスマスライトが壊れると、ライトの仕組みを子どもたちに説明しながら、修理します。

子どもたちが、Nスケールにはまっている時には、3Dプリンターで、町を作ってアレンジしました。

折り紙にはまると、色々なピースから、様々な多角形を作る方法を教えていました。

それこそ、まだ文字が書けないような時には、巨大迷路を作ってくれたこともあります。

クワガタを育てたり、セミが羽化する瞬間を観察したりと、夫の体験授業は、いつも子どもたちをワクワクさせています。


毎日コツコツ取り組むことが得意な私と、あれこれクリエイティブに思いつく夫では、案外いいコンビかもしれません。

夫作の巨大迷路。こだわったものを作るのは、夫の得意技。

子どもが一つできるようになれば、そのちょっと高い壁を設定していく。

それを乗り越える楽しさを知れば、少しずつ自発的に勉強するようになっていくものです。

中学生になった息子たちは、そろそろ私が教えられる限界に来ていて、まもなく卒業を迎えそうです。

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