子どもの睡眠。赤ちゃんの寝かしつけは、本当に大変ですよね。
子どもにとって、睡眠と食事は、どちらもとても大切なものです。だけれど、食事に比べると、睡眠時間の大切さに気付いていない人が多いように感じます。
我が家の睡眠に関する話と、教員として感じた睡眠についてのお話です。
育児で最もつらかったことと言えば?
初めて授かった子どもは、双子でした。
私は基本的に楽観的だし、あれこれ考えて行動するタイプではないし、常にどうにかなると考えています。
双子育児をしていても、そんなに悲惨なことは少なく、毎日わりと楽しく生活していました。
(もちろん、時に辛いこともあっただろうし、涙することもあったけれど。)
一度、双子子育ての情報がほしくて、双子サークルに参加したことがあったのですが、一度で辞めました。
皆さんとてもお疲れの様子で、大変な育児、辛いことを互いに話して、分かち合うという時間だったのです。
とても有意義だし、これが息抜きになるお母さん方(全員がお母さんでした。)も多かったでしょう。
ただ、私が求めていた内容とは違ったーということです。
それなりに楽しく過ごしている中でも、双子育児で最も辛かったことは、私の睡眠不足です。
完全母乳で、しかもなぜか布おむつで育てていたので、泣けば、私が起きるしかありません。
二人が同時に寝るなんてことはありえなく、互いの声で順番に起きては、力いっぱい泣いていました。
その次に、二歳差で娘が産まれたので、四年間まともに寝なかったことを、自分で大いに褒めたいです。

里帰りしなかったので、夜以外は、一人で双子(後に娘と三人おむつ、三人ベビーカー時代も)を育てました。
全ての生活ペースは、私のため
産まれる前には、色々な育児本で寝かしつけのやり方を見たことはあったものの、なんせ双子。
思うように事が進むことなんてありえないし、毎日やっつけ仕事でもありました。
(産まれてからは、情報を得る時間さえなかったというのが、正直なところ。)
今で言う、ネントレをきちんと取り組める環境ではなく、来る日も来る日も細切れ睡眠の連続です。
それを数年間繰り返すと、気づけば赤ちゃんではなくなっていたーという思い出しかありません。
私が理解するべきことは、「夜は寝るもの」という常識は、この子たちには当てはまらないのだと知ること。
「夜は寝る」という常識を知らない赤ちゃんに、それを一から教えていくのだから、大変に決まってる。
そう思うと、やがて成長と共に解決する時は来るはずなので、今を乗り越えれば解放されると信じていました。
少し大きくなってくると、夕方以降は昼寝をさせない戦法を、かなりきつくやっていました。
ごはん中にウトウトされた時なんて、「かわいい」なんて思えず、「やばい!きた!」しかありません。
盛り上げて話しかけて、ごはんもお風呂も全速力で進めて、とにかく寝るところまで一直線に向かっていく。
バタンと、電池切れになる瞬間さえ与えません。
人によっては、かわいそうに思う人もいるだろうし、子どもも、眠いのに何をさせるんだと思っていたかも。
だけれど、双子を育てていて、一番大切なことは、一番に私の睡眠確保と、私の心の平穏でした。

二人が同時に寝るなんて、まさに奇跡!私にとっては、エベレスト級の喜び。
夜は家中真っ暗にして、全員で寝る
さらに大きくなってくると、寝る時間には、家族全員でお布団に入りました。
この時間になったら、特別はなく、家族全員でお布団に入って、「おやすみ」と言って、みんなで寝るのです。
その前に家族みんなで遊んだり、本を読んだりと様々でしたが、寝る時間は必ず守る。
もちろん家事が残っているので、私が寝落ちする夫を毎日起こして、そこから二人で家事をしていました。
確かに、子どもだけで寝てもらい、その間に家事を進めれば、確かに親ももう少し早く寝れたと思います。
だけれど、子どもを安心安全の中で一番早く寝かせる方法は、一緒に寝ることだと考えていました。
子どもの頭、心、体を健全に育てるため、小さいうちは特に食事と睡眠は削ってはいけないと思います。
「何時間寝るのがベスト」とあちこちで話されていますが、程度の差こそあれ、環境も個人差も様々。
私が思う、正解の睡眠時間は、朝その子がすっと起きれること。
身体が疲れていたら、いつもよりたくさんの睡眠が必要だろうし、状況が変われば変化して当然です。
何度も何度も起こさないと起きないようでは、寝る時間を早めることが一番大切だと思います。
私がよく言ってきた言葉に、「しんどい時はねんねだけ。」とあるのですが、
体調が優れない時は、体が望むだけ寝る。
心が疲れている時も、何より睡眠時間を大切に。
何もしなくていいから、寝ればそのうち少しずつ回復してくるし、それで食欲が戻ればもう安心です。

寝る時に幸せな気持ちで寝て、健康的な食事があれば、ある程度しっかり育つはず。
様々な子どもを見てきた、睡眠に対する考え方
これは、あくまでも印象の話です。
きちんと統計を取ったわけでもないし、多くの子どもを見てきて、日常会話を聞いていて、感じた印象です。
偏差値が低い子ほど、夜寝る時間が遅いことや、生活習慣が乱れていることを、本人が自慢のように語ります。
「昨日はこんな遅い時間に寝てんで。」とでもいうように。
一方、偏差値が高い子ほど、「寝ないとダメやねん。」と自覚しており、生活の乱れが少ない印象です。
附属学校でのことですが、生徒が全力でやる行事があり、皆必死でそれに向かってやってきていました。
その閉会式で、代表の生徒が、最後にこう挨拶を締めくくりました。
「明日は、みんなちゃんと遅刻しないで朝学校に来ましょう。それが附高生だと思います。」と。
私は、生徒自身の口からそれが出ることに感動しました。
もうみんな、疲れも限界まで来ていたはず。
だけれど、終わったからといって、ずるずる他のことに影響するようでは、困ります。
今日で終わったので、明日からまた通常生活が送れるように、今日の生活から意識しようと。
その生徒に、「素敵な挨拶だった。」と伝えると、「そうですか?」と、本人は特別意に介していない様子。
それを当たり前だと認識していることに、それまでの家庭教育がにじみ出ていると感じました。
まずは親が約束を守る
家族全員の寝る時間なのに、一人でもそれを守らないと、家族全員の入眠が浅く遅くなります。
寝る準備を整えて、真っ暗にして眠りにつこうとしているところに、一人が遅れて歯みがきなどを始め、
後からお布団に入ってくると、一緒に寝る子どもは、どうしても意識が戻りがちです。
寝る時間を設定したら、やらなくてはいけないことを先に済ませることがお約束。
例えば21時という設定なら、21時からあれこれ寝る準備をするのでは、結局21時半近くなるでしょう。
21時に寝るために、少し前から動き始め、21時にお布団に入ること。
もちろん、時には外せない用事や、緊急のあれこれもあるでしょう。
その時は、事前に子どもに伝え、子どもだけで進めてもらうようにお願いしておきます。
私も、週一で夜の習い事があるので、毎週必ず子どもに伝えます。
「ちゃんと21時に寝ておいてね。後でぎゅーするからね。」と。
我が家で、初めて起きて年越しをしたのは、息子が6年生になった時でした。
お泊りや旅行の時などは、特別ということで、時間をオーバーさせる時もあります。
大事なことは、オーバーさせるならさせると決める。
ずるずると遅れていくことがないように、時間の約束を、親が守ることが大切です。

どんなに仕事が遅くなっても忙しくても、子どもの寝る時間だけは、後ろにずれないように。
子どもを成長させる順番
「子どもの頭、心、体を健全に育てるため、小さいうちは特に食事と睡眠は削ってはいけない。」
と、先ほど書きましたが、それについてもう少しだけ。
早期教育に関する考え方も様々だし、うちも早い段階から、色々なことを試してきました。
ただ、強く言えることは、体と心の土台があって、初めて頭が育っていくということです。
十分な睡眠と、正しい食事。
(この飽食の時代において、「十分な食事」はちょっと違和感があります。)
そして、おなかの中に誕生した瞬間から与えられる、たくさんの心の栄養。
これらがあって、初めて頭が育っていくのであって、睡眠や食事が不足している状態では、いくら
頭を育てようと思っても、それは思うような結果が出ず、心の健康も蝕んでしまうかもしれません。
人は、時に、睡眠や栄養を差し置いても、踏ん張らないといけないこともあるでしょう。
だけれど、子どものうちは、まずはこの大きなピラミッドを忘れず、しっかりと寝かせてあげたいものです。
たくさん寝ると、すっきりとした朝が迎えられます。
まずは、体と心のエネルギーが満タンの状態で、一日を始められること。
それが人生への活力に繋がると思います。