非日常の旅行、私は大好きです。実は、渡米してから数年経った今も、どこかアメリカ旅行を長く楽しみ続けているような気になるときも。日本への一時帰国の時のほうが、ホテル生活であるにも関わらず、我が家のような気がしてしまいます。皆さんは、どんな旅行が好きですか?うちが好きな旅行の内容、そして旅行で子どもを育てる方法をお伝えします。
私の鞄にいつも入っていたもの
皆さんの鞄にいつも入ってるものは何ですか?
夫とお付き合いをした時に、ティッシュを持ち歩いていないことを不思議がられたことを覚えています。
鏡、櫛、ティッシュ、除菌スプレー、メイクポーチ、飲み物、お菓子?
私の鞄の中には、これらはどれも入っていません。
日本に住んでいる頃は、私はずっと地図帳を持ち歩いていました。
小学校4年生でもらう、国内地図が詳細に載っているものです。
子どもと少し電車に乗って出かける時、車で遠出する時、度々地図帳を開いて説明していました。
「家がここ、目的地がここ、今この向きにこうやって進んでるんだよ。」
「あ、海がこっち側に見えるね、こっちは山側だ。」
「こんな工場がたくさんあるみたい。」
特に地図の読み方というのは教えませんでしたが、自然と興味を持っていくようになりました。
残念ながら、渡米後はそういうこともなくなり、私が一番右も左も分からず地名も覚えられないけれど。

土地のイメージや地名を覚えるだけでなく、おおよその距離感や時間感覚も、同時に身に付いたはず。
お金の価値
日本ではフルタイム共働きだったので、旅行できる時と言えば、夏休みや冬休みくらいです。
今年はどこに行こうか?と、休みが近付くと、色々家族で話していました。
ハイシーズンで高額にはなりますが、うちは、経験にお金を使うことに価値を感じていました。
(身に付けるものや、食べ物へのこだわりは、ないに等しいです。)
安くて自然に親しめるキャンプなども、よく行きました。
キャンプデビューは大阪で、ボランティアの大学生に助けてもらい、火起こしをしたことも覚えています。
自分たちで調理したり、手作りのブランコに乗ったり、自然の中でひたすら遊ぶ楽しみを知れたなぁ。
ざっと思い出しても、子どもと一緒に、関西圏は全て制覇しています。
私が、20代のころ、世界遺産を回るのが好きだったため、その名残もあり、名所めぐりも多いです。
定番の安芸の宮島や白鷺城、和歌山の熊野古道の他、原爆ドームには、子どもも大きな関心を示しました。
最近日本へ一時帰国した際には、ひたすら京都と奈良のお寺巡りをしました。
これも、思った以上に興味をもち、帰国前にもう一つ見たい!と望んでいたほどでした。

「日本の歴史」は、子ども達の愛読書。どこかへ行くときには、事前にその土地について学びます。
旅先ですること
例えば、兵庫県丹波市では、立杭焼の体験や、黒豆収穫体験。
大阪府堺市では、千利休茶の湯体験。
福井県恐竜博物館では、化石堀り体験。
こうした体験は、社会の勉強をした時に、見たことも聞いたこともない中で学ぶのとは、吸収が違うと思います。
体験の他には、美しい日本の自然の風景を見ることも好きです。
三重の千枚田は、それは美しい風景で、季節ごとに訪れたくなる場所でした。
日本の風景百選に選ばれている京都の伏見稲荷大社や金閣寺、清水寺は、日本の美を再認識させてくれます。
吉野山の千本桜や那智の滝も、これを美しいと感じられる心を持っていてほしいと願いながら訪れました。
他にも、自然の神秘を感じられる鍾乳洞には、あちこち積極的に連れて行きました。
箕面の滝は、近所だったので、散歩ついでに何度も訪れた懐かしの場所。
西はりま天文台も、何度も後から話を出していたし、博物館や科学館にもよく行きました。
私が音楽教員だったころの目標として、こんなことを思っていました。
「美しいものを、美しいと思える心を育てる。」
喜怒哀楽を育てることにも似ていますが、純粋に、心が震える瞬間をたくさん見つけてあげたい。
それこそが、心を育てることだと信じています。

双子の一人は、ロープを隔てて数メートル離れることを寂しがり、一人だけの参加。成長のスピードは様々。
プラン立て
旅先にも、多くの学びがありますが、その始まりは、プランを立てることからです。
家族それぞれのやりたいことを挙げてもらい、どこに行くか、何をするかを話し合います。
子どもの年齢によって、できることは大きく異なってきますが、これをするとしないでは大きく違います。
要は、受動的に、与えられた旅に着いていくだけなのか、
能動的に、自分が訪れたい場所に、自分の意志で行くのか。
学校の授業でも同じです。
ここ数年、「アクティブラーニング」と言われ、私も附属時代にかなり勉強しました。
ただ先生の話を聞いているだけなのか、自ら主体的に学ぶかの違いによる、吸収の差は大きいです。
「OOが行きたい、見たい、やってみたいと言っていた、これをやりに行こう!」
と、事前に地図帳を見せながら伝えるだけで、子どもの心のワクワクは高まるし、関心も高まるものです。
そして、次のステップが、私が一番大切にしてること。

非日常の時間こそが、子どもにワクワクやドキドキ、うきうきを与え、子どもの心をたくさん育ててくれます。
しおり作り
私が、旅で一番大切にしてきたのは、しおり作りです。
小学校や中学校で、しおりを作った覚えはありませんか?
それを、家庭内で作るのです。
始めは、名前を書くだけでも、色を塗るだけでも、絵を描くだけでも構いません。
旅の準備物や工程、見るべきポイントなど、自ら把握できることができると、旅への味わいが深まります。
「次ここ行くよー、はい、ここでこれ見てー、次また移動ね。」
と言われるのに、ただ付いて周るのと、
「次はここへ行くんだな、これどうなってるのかな、思ってたのと違うな、次はOOに乗って移動か。」
と思うのでは、当然吸収が違います。
写真を見て懐かしく感じることはもちろんですが、それ以上に、自分で作ったしおりは宝物です。
残念ながら、渡米で諸々はなくなってしまいましたが、今でも子どもはいくつか大切に持っています。
しおりが完成してからの、しおりを使っての事前学習(地図帳やネット、写真を見せて)も最高に楽しいです。
近場のお泊りなどは、子どもに自分で作ってもらうこともでてきました。
いずれ、子ども自身で作れるようになるその時が、とても楽しみです。

2泊3日の数え方や、移動方法や時間を、それぞれの年齢に応じて担当し、みんなでしおりを完成させます。
旅行の準備と後片付けこそ子ども主体に
しおりには、持ち物のページが必ずあります。
この旅行では、何がどれだけいるか?を、一緒にイメージしながら考えます。
まだ小さいうちは、ほとんどがおもちゃや、よく分からない宝物などが詰め込まれますが、
成長と共に、衣類や海グッズ、この旅行だからこその必要なものが分かってきます。
衣類は、一日目にこれを着て、お風呂に入ったらこの服に着替えて、二日目はーと並べながらイメージします。
数年経つと、自分たちで用意して、最後にチェックをするだけで大丈夫。
そして、中学生にもなると、もう最終チェックもいらないと言われるように。
そして、旅が終わった後も、全員で後片付け。
うちでは、私がキッチンや洗濯を担当し、片付けながら、次の日常を迎える環境を整えていきます。
その間、夫は、車を空にして大きな荷物をそれぞれ元の場所に。
子どもたちは、全ての荷物を車から家の中に運び入れ、自分たちの荷物整理をした後、家族の荷物整理。
昔は、準備と後片付けを、二人で全てをするのがとても大変だったけれど、今では本当にあっという間。
子どもが、立派に一人前の働きをしてくれるようになると、何とも余裕が出てきます。

キャンプグッズを選ぶのも子どもと一緒に。大きさをイメージして、ゲストのことも考えて、家族みんなで決めます。
レベルの差で、訪れる場所が変わる?
これ、教員ではよく理解し合える話なのですが、一般にはどれくらい知られているのでしょうか。
高校などの遠足や修学旅行で、レベルによって、訪れる場所にも傾向が見られます。
どの学校であっても、できるだけ多くの生徒が楽しめる場所であることは大切。
ある学校では、テーマパークを選び、基本は自由行動というところも。
生徒の中から、委員を選出し、行先を決定することも多く、あくまで傾向としてーの話ですが。
一方、附属中学では、磯観察や富士登山、遠泳がありました。
さらに、高校では、地学学習や歴史自然文化に触れる研修旅行、百キロ徒歩などがありました。
夏季校外研修は、つくば研修、西はりま天文台やSpring8、ハンセン病施設岡山愛生園などです。
そして、特筆すべき、遠足は、登山を中心とした「歩く」行事です。
つまり、生徒たちの多くは、こういった活動内容に楽しさを感じられるのです。
知的好奇心を高めることに喜びを感じられるようになるには、それまでの家庭教育の在り方が左右します。
学生時代、音楽や英語の授業で、海外の映画やニュースなどを見たことがあるかもしれません。
字幕と吹き替えのどちらが好まれるかも、同じく学校のレベルで決まることが多いです。
内容を理解することに精一杯になり、読解に時間が掛かる生徒は、字幕に追いつくのは大変です。
その場合は、吹き替え版を利用したほうが、目的に合った授業が展開できることが多いでしょう。
一方、やはり現地の言語で、言葉の持つ抑揚や雰囲気全てをありのままに感じたければ、字幕を選びます。
家庭教育のひとつひとつ、毎日の小さな選択の連続が、その子の能力をどのように高めるかを決めます。
そして、それが思考の深さに繋がるのです。

日本に住んでいたころ、自宅でもキャンプでも、頻繁にやっていた流しそうめん。私も、竹を切って運ぶのはへっちゃら。
旅行の目的
テーマパークに行ってはいけないという話ではありません。
私も、何度も友人と行って楽しい思い出があるし、その楽しさは知っているつもりです。
子育てをする上で、どれくらい旅行の機会があるのかは、家庭によって様々です。
お金をどこまで掛けられるかも、経済状態にもよるでしょう。
大切なことは、今、この子が何に興味があり、関心があるのかを、常に知ろうとする姿勢です。
そして、旅行の前段階から、知的好奇心を高める種まきをすることが必要です。
無料のパンフレットや図書館、インターネットでも、お金をそこまで掛けないでも十分可能なはず。
子どものワクワクを高め、面白い!感情を引き出し、頭の中をぐるっと思考させ、定着を図る。
家族の中で、そういった話題を増やしてみるとか、ニュースを見てみるとか、できることはたくさんあります。
どういう「楽しい!!」を求め続けるか。
親の思考こそが、子どもの思考を生みます。
さて、我が家は、次にどこへ行こうかな。