About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

「ゲームとの付き合い方は、それぞれの家庭で考えればよい。」それはもちろんそうなんだけれど、うちの子育てとゲーム、教員から見たゲームと子どもの関係をお伝えします。ゲームをそもそもさせるかさせないか、そして、させるとなれば、覚悟をしておくべきことなどを書いてみます。

ゲームに対するうちの考え

ネットニュースや子育てで、よく討論されるゲームについて。

私は、賛成か反対でいうと、反対派です。

だけれど、外でやったり、お友達の家で一緒に体験してみる分には、全く問題なし。

子どもには買い与えないし、例えば友達から借りてきて、家の中でするのには反対。

夫も近い考えを持っているし、我が家で「ゲームを与えるか」については、そこまで話したことはありません。


子どもの今の生活を見ていても、恐らくほぼゲームに触れたことはないし、やりたいとも言わない。

もちろん将来のことは分からないけれど、大人になって、そこからゲーム三昧になるのは想像できない。

(かと言って、もちろん何かのきっかけで、親から離れてゲームを楽しむ人生になるかも?それは本人次第。)


私がどうしてこう考えるのかは、ゲームを楽しむ時間がないから。

そして、それ以上に楽しいことがたくさんあるからです。

親はテニス、子どもは虫探し。子どもは、何でもない場所でも最高に楽める天才。

東大生はゲーム好き?

ネットニュースなどで、何度も目にしたことがあるし、ゲームが頭にいいという話も聞いたことがあります。

これだけ、世間でゲームが認知されている今、何の不思議もないし、東大生だってゲームをするでしょう。

ゲームに限らず、どんな事実にも、裏と表があり、考え方だって、両側から見た目線があるはずです。

大切なことは、自分の頭で考えること。

「じゃあうちの子にも!」と考えるには、ちょっと危険です。


私は音楽で仕事をしていますが、みんながみんな習えばいいなんて全く思いません。

東大生の習い事では、ピアノが人気と聞いたこともありますが、ピアノを習った全員が頭がよくなるとも思いません。

ゲームであれ、どんな習い事であれ、その子にあったものを選ぶことが大切です。


日本のゲーム技術は高いし、大人があれこれ考えて開発しているのだから、もちろん楽しいのでしょう。

だけど、「うちの子の性格」や、「うちの家の状況」など、様々なことを加味して考えることが大切です。

親がよく触っているものこそ、子どもは触りたがるもの。親がゲームなら、子どももゲーム。親が携帯なら、子どもも携帯。

うちの子どもの日常

朝起きて、30分ほど日本人学校の宿題をします。

その後、学校へ行って帰ってきて、まず夕方の晩御飯。

(この不思議な流れについてはまたどこかで。)


その後、習い事や日課にしているバスケや体操の練習をして、それぞれピアノやクラリネットなどの練習も。

合間に遊びもあるし、リラックス時間に本を読んだり、おやつを作ったり。

お風呂に入れば、唯一のテレビ時間を、30-1時間ほど楽しめば、あっという間に寝る時間。

(日本ではテレビを見ていなかったけれど、渡米後は、日本語力向上のため、積極的に見せています。)


勉強だけでなく、スポーツや音楽、色々なことを前向きに楽しめることが、本当にすごいなぁと思っています。

どこにもゲームが入る時間はないし、携帯にかじりついている時間もありません。

これは、無限に楽しめるゲームを取り入れなかった結果、手にできた長所だと思ってます。

ちょっと時間があるから、お菓子作りをしてみようかとか、本を読んでみようかとか。

そちらに意識を向けるきっかけ作りもしているいけれど、ゲームがあれば、こうはいかなかったと思います。

ある研究施設で、子ども実験教室に参加。こんな体験ができるなんて、最高の機会!

ゲームを欲しがった?

答えは、No。

一度も求めてこなかったし、その楽しさも知らないと思います。


大型マンションに住んでいたので、子どもの数は多かったです。

中庭や公園に行けば、たくさんの子どもがいつも遊んでいました。

そして、廊下の隅っこでは、いつも同じメンバーが、並んで無言でゲームをしていました。


どっちのお友達と遊びたいか?という話は、親の考えとして伝えてはいました。

みんなで公園やボール遊び、鬼ごっこを全力でするのか、ゲームを全力で楽しむのか。

子どもは、「なんでゲームなんかするんかな。」と不思議そうに見ていたことを覚えています。


この時期には、週末ごとに、お父さんが子どもやお友達と全力で外で遊んでくれていました。

外でみんなでケンカしながらも、もみくちゃになって遊ぶ楽しさを知っていたことは大きいと思います。

そして、私は、いつでも誰でもウェルカムで、家を開け放していたので、よくお友達が遊びに来ていました。

晴れていたら外で、雨ならうちの家で遊ぶことが、近所の子どもたちのお決まりコース。

大きな公園の、自然教室で。なんと、おばあちゃんが先生として登場してびっくり。

「ゲームさせる?どうする?」ママ友からの質問

小学校入学ごろだったかな?

「ゲームさせる?どうする?」と、子ども同士がよく遊ぶママ友から、質問されたことがありました。

「しないだろうし、買わない。」と答えると、

「今出さんはそうだと思った!良かったー。」と言っていました。


私は、誰が買おうが、自分で考えますが、仲良しのお友達の動向が気になることもあるでしょう。

要は、ゲームを楽しむ友達には、ゲームが好きな友達ができるし、似たものが仲良くなるのは当然です。

どちらを選んだって、それぞれの世界はあるわけだし、否定する必要もありません。

ただ、自分がどんな時間の使い方をしたくて、どんな毎日を過ごしたくて、将来どういう方向に進みたいか。

明確な何かがなくても、なんとなく、どういう子育てをしたいかがあれば、答えも見えてくると思います。

ごみ処理場や下水道処理施設、車両基地見学、工場見学など、子どもたちはどれも大好き!

ゲームが失うもの

ゲームのいいところは、他のサイトで見てください。

きっと、いいこともたくさんあるだろうし、私が気付いていないこともたくさんあるはずです。


私が一番に思うことは、「チャンスを逃す」ということです。

ゲームは、色々な工夫で、できるだけ長く使いたくなるものだし、隙間時間があれば、やりたくなります。

ゲームという選択肢がなければ、その隙間時間に、「何をするか」を考えることができます。


うちの息子が、小さい頃、自分がしたくないスポーツをみんながしているのを、じっと見ていることがありました。

みんながやりたいものを、順番にやっていくので、当然自分がやりたくないものだってあります。

息子は、じっといじけて隅っこに座って、終わるのを待っていましたが、私はこう言いました。

「やってみてから決めたらいいのに。5分だけやっておいで。」と。

そして、いざやってみると(ドッチボールか何かだったかな?)大笑いして楽しんでいたんです。


ある時間を全てゲームに使うか。

それとも、時間があるから、ちょっとお散歩してみようとか、出かけてみようとか、

スポーツや料理やお絵描きや、何かをやってみて、新たに好きなものに出会うか。

これは、積み重ねていくと、大きな大きな差になると思います。

ごみ収集車が大好きなら、徹底的にごみ収集車の追っかけ。手紙のやり取りまでする関係に。

附属学校生もゲーム

公立高校生でも、附属学校生でも、ゲームはしている子はたくさんいます。

ゲームに没頭している子ほど、学校の授業についていくことが難しい生徒が多いイメージはあります。

学校の行事に一生懸命になっていたり、習い事ややりたいことに夢中になっている子は、ゲームの時間は取れないでしょう。

わずか10代の子が、本当に大切なことが何かを考え、時間を守って制限できる確率は高くありません。

私も含め、大人だって、携帯を頻繁に確認しなければ、不安に感じる人だって多いと思います。


ゲームを手に入れるということは、恐らく、使い方をめぐって親子で話す機会は出てくる可能性が高いです。

確かに、子どもにとっていい思考の勉強になることもあるでしょう。


だけど、私なら、もっと別のところで、親子で話し合ったり、考える時間に充てたいです。

スポーツや音楽、勉強や遊びをしながら、その時の興味のあることに全力で向かう時間。

そういうところで親が頼りにされ、親子で話す時間がもてるよう、親自身が努力していきたいです。

小さな成功体験と、たくさんの失敗をさせることを大切に。できるだけ手を出さず、子どもの育ちたい気持ちを大切に。

ゲームに集中してくれるからラッキー?

毎日、やることがいっぱいで、大忙しの私たち。

その上、子どもも「ねぇねぇ!遊ぼう!見て見て!」とずーっと話しかけてきます。

少しでも、子どもが一人で過ごしてくれる時間があれば、あれこれ用事を済ませられるのも確か。

だけど、わずか80年ほどの人生のうち、わずか10年ほどのことです。


子育てでてんやわんやの時期、通りすがりのおばあさんが、よく声を掛けてくれていました。

「大変だろうと思うけど、今が一番幸せよ。」と。

「ほんまかいな。」と思っていた私。

けれど、子どもが中学生になった今、もしかしたらそうかもしれないと感じている自分もいます。


全力で子どもを育て、忙しさにひーひー言うこともあるけれど、それでも子育ては最高です。

目を向けて、手を掛けて、心を向け続ければ、子どもは愛をもって育ちます。

親に求められるのは、体力→気力→財力になっていくと言いますが、「体力」の間は、わずかな時間。

ほんの10年ほど?(いや、渦中にいると長く感じますよね。分かります。)


子どもがゲームを望んだら。

「周りが持ってるから」

「持っていないと話についていけなくなるから」

「子どもが欲しがるから」

で結論を出さず、自分の家庭に必要か、子どもにとって必要かを、今一度考えてみてください。

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