特に子どもが小さいうちは、行事を楽しんでいるおうちが多いと思います。
お正月、節分、お雛様、子どもの日・・・と毎月のように楽しめますね。
ちょっとした非日常を、大人と子どもが一緒に楽しむための工夫と、我が家の実例を少しご紹介します。アメリカの行事の楽しむ様子もぜひ読んでみてください。
行事を手作りで楽しむ工夫
日本には、伝統的な美しい行事がたくさんあります。
多くは、まだまだ海外では知られておらず、日本ならではのものばかり。
保育園や幼稚園では、行事をとても大切に扱ってくださるし、楽しんでいる子どもも多いと思います。
まさに、この行事の取り組みが、家でも楽しめると最高です。
形は悪くても、家にある新聞紙や折り紙、画用紙や段ボールで作れば、世界に一つのオリジナルの完成です。
毎月のようにある行事の度に、自分たちで欲しいものを生み出す力を付けるチャンスです。
初めは親が主導で全てをやっていたのに、気づけば一緒に取り組むようになります。
そして、やがては子ども主体の作品ができてきて、その成長は感慨深いものです。
そういう変化を感じることのできる手作りの行事の楽しみ方を、うちもずっと続けています。
私は、例え安くても、使い捨てのグッズを買い集めることは好きではありません。
ちょっときれいに飾るためのグッズを買っては捨て・・・を繰り返すことを、子どもに見せたくないからです。

お月見の三方を、お父さんと一緒に手作り。ついでに、地球儀をもってきて、月の満ち欠けの話を。
アメリカでやる、うちの本気節分
つい先日、節分があったので、我が家の節分の楽しみ方をご紹介します。
うちは、日常的に納豆を作っているので、日ごろから様々な種類の豆をストックしています。
大豆やひよこ豆、金時豆、白いんげん豆、そして黒豆など。
その日は、たまたま黒豆があったので、水に戻して、一時間ほど煎って、節分豆を作りました。
アジア系スーパーには、節分豆が売っているんですが、少量でしかも高いので、うちでは買いません。
欲張って、1LB(450g)作りました。
その間に、娘に、広告チラシを使って、節分豆を入れる箱を作ってもらいます。
娘は、あーだこーだ難しいと言いながらも、無理やりテープでくっ付け、何とかそれっぽく完成させていました。
サイトを見て作ったのに、なぜか全く違う形のものが仕上がっていて、不思議でしたが。
そしてさらに、娘に鬼のお面も作ってもらいます。
自分で書いたものが気に入らないと二回やり直し、結局下書きは私が書き、ご機嫌に色を塗っていました。
日本から持ってきたお釜で炊いたご飯と、すし桶に入れたすし飯、あとは簡単な具材を作って準備万端。
みんなで無言で恵方巻を頬張り、順番にやりたい人が鬼を担当し、「鬼は外!福は内!」まで楽しみました。

今振り返ると、最後のお父さん鬼。翌年からは、子どもやお客様(ナゼ?)が担当することに。
一つの行事でも成長してく姿が面白い
鬼のお面は、毎年お父さんが作ったり、子どもと一緒に作ったり、その年によって様々な表情が楽しめます。
お父さんが本気で怖いものを作って、それを見るだけで、娘が泣いた年もあったっけ。
ずっと長い間、お父さんが鬼をやり続けていて、初めは号泣していた子ども達も、やがて笑うようになり。
もうお父さん鬼は引退だと宣言してからは、子どもが順にちょっと恥ずかしそうに挑戦したこともありました。
すると、今年は、もう双子のうちの一人はしたくないと、鬼さえも拒否。
近い将来、鬼をする人がいなくなるんじゃないかと想像しています。
恵方巻も同じように、我が家の歴史があります。
私は、(家族が気付いているのかは分からないけれど)毎年具材を変え、様々な味を楽しめるようにしています。
エビフライやカツ巻、海鮮巻に手巻き寿司、そして今年はキンパを作りました。
「途中でお話しちゃダメなんだよ。」と言い続けていますが、当然誰かが笑って話し始めてしまいます。
言い続けて苦節?10年、とうとう昨年全員が無言で食べきることができたときは、感無量でした。
そして、今年は、食べきった子どもが笑かす担当になり、笑わない合戦になっていました。
こうして、一つの行事でも、その年その年の思い出が残り、家族の絆がますます強くなってきています。

まだ子どもが、半人前の巻きずしだった時代。今では一升以上を5人でペロリです。
できるだけ手作りを心掛けるうちの日本の行事
渡米してからも(渡米してからますます?)、日本の行事を楽しむ気持ちは変わりません。
おせちはもちろん、日系スーパーで泣きながら高価な日本食材料を揃え、10品ほどは作ります。
ちなみに、タイやブリはありませんが、息子が釣ってきた立派なサーモンはよく食べています。
お正月は、毎年百人一首で遊び、こたつに入ってゆっくりお善哉をいただく時間は至福。
お雛様は、七段飾りの他、義祖母が作ってくれたお雛様を毎年飾っています。
春のお彼岸の時期には、もち米と手作りの餡を作っておはぎを作るし、七夕も毎年欠かしません。
端午の節句では、義祖父母が作ってくれた、ちりめん布のこいのぼりや大きな兜を飾っています。
お月見には、三方を作ります。(今では、子どもが毎年お団子を作ってくれるので、ありがたい。)
家族でお祝いがあればお赤飯を炊くし、ホームベーカリーだけれども、頻繁にお餅もついています。
心の奥底には、日本人としての芯と、アイデンティティは持っていてほしい。
アメリカで暮らすからこそ、日本のこうした行事を、子どもの興味がなくなるまでは毎年楽しみたいです。

毎年、「お雛様がまた小さくなった!」と叫ぶ子ども達。今では、出すのも片付けも、全て任せ切り。
そして加わった、アメリカの行事
これらの行事に加え、アメリカの行事も加わってきています。
面白いことに、2月14日のバレンタインデーは、男性から女性にプレゼントを贈るんです。
3月17日のセントパトリックデーは、緑色を身に付けて、アイルランド系移民のお祝いが行われます。
7月4日の独立記念日には、花火を楽しむし、9月の第一月曜日は、レイバーデイで、労働者の日。
10月31日のハロウィンは、多くの家が大々的な飾り付けをして、仮装して各家でお菓子をもらいます。
11月第四木曜日のサンクスギビングは、収穫を祝い、みんなで集まって食事をする、お正月のようなもの。
うちは無宗教なので、このように様々な行事を取り入れ、家族の楽しむ時間にしています。
一方、アメリカでは、多くの方が何らかの宗教に属しています。
このイベントはうちではしない、クラスの行事パーティーに参加したくないので、休ませるーのように、
それぞれのスタイルを明確に持っておられます。

コロナ禍でも、国民行事のハロウィンは、試行錯誤で決行。筒に入れてキャンディーを落としてくれるアイデアにびっくり。
大人も一緒に全力で楽しむアメリカの行事
日本では、行事は「子どもが楽しむもの」であり、そのために親が努力しているイメージがあります。
一方、アメリカは、幼稚園だけでなく、小学校でも変わらず行事を学校全体で楽しむし、大人も全力です。
バレンタイン時期は、大人も赤い洋服を着てプレゼントを配り合います。
行事ごとの家を飾る本気度は、目を見張るものがあるし、家の中も外も大人が全力で装飾します。
子どもがお菓子をもらいにくるのに、配るお菓子を準備するのはもちろんだけれど、それだけでなく、
大人自身が仮装して、マジックショーを見せてくれたり、くじ引きのようなものを作ってくれていることも。
サンクスギビングには、これでもかと料理を作り、数えきれないほどの人を招いてパーティー。
クリスマスには、学校の先生方も、クリスマスセーターを着たり、街中の大人がウキウキしています。
アメフトや野球は、もう国民行事かと思うほどの熱狂ぶりだし、それに向けて山盛りのお菓子を買って準備。
一つ一つに、本気で準備をして、自分自身が一番楽しめるようにしているところが素晴らしい。
小学校でも、各イベントごとに、授業をこれだけ休んで大丈夫なのかと心配になるほど、盛り上がっています。
アメリカ人は、毎日を楽しむ方法をよく見つけ出すし、人生を楽しくウキウキ過ごす天才。

全力の仮装がまだ恥ずかしい頃、娘は猫に変身。年々派手になっていく娘。
「行事を楽しむ」から一歩深く
小さい頃からよく図書館に通っていたのですが、行事の前には、それにまつわる本を読み聞かせていました。
当然年齢ごとに内容は深まるし、大人の私でも知らないことがたくさんあります。
今、手元にこの本があるのですが、アメリカにいる今でも、大活躍してくれている大切なものです。
「和の行事えほん 春と夏の巻・秋と冬の巻」髙野 紀子さん
ただ、作って食べて終わりではなく、毎年少しずつ、その成り立ちや歴史を伝えてきました。
本当に大切なところは、ここだと思うのです。
日本の歴史を知り、美しい言葉の成り立ちに寄り添い、その当時の人への想いを馳せる。
こうしたところから、受け継いできたものへの感謝と、次に繋げる想いが芽生えてくると思います。
海外に出ると、日本の美しさに改めて気づき、それをより深く学びたくなるものです。
日本人は、(私も含めて)自国の文化を語れる人が多くありません。
自国を愛し、誇りをもち、確固たるアイデンティティをもち、日本を語れる日本人でいたいな。