暗記は得意ですか?私は、とっても不得意です。だからこそ、子ども達には、「覚える」ことに抵抗がないように育てたいと望みました。小さい時からやっていた、暗記習慣と、それによって得た副産物、「頑張る力」が育った方法をお伝えします。
子どもの可能性を、思いきり引っ張り上げる
うちは、双子が小学校3年生、娘が小学校1年生の夏に渡米をしました。
初めは、アメリカでの成績は、ほぼ全て一番下。
Personalという人物評価こそ、認めてくださっていたものの、Language Arts(国語)であろうが、Math(算数)であろうが、英語を全く知らなかったので、当然の結果です。
しかし、その二年後には、アメリカで算数カテゴリーでギフテッドとして認定され、
三年後の6年生(中学1年生)では、現地校でも日本人学校でも、オールAを取ってきていました。
日本人補習校では、ほぼ全員がバイリンガルのため、中学でオールAはなかなか取れないと、先生も驚かれていたそうです。
突然始まったアメリカ生活で、コミュニケーションもままならない中、なぜ成績で困らなったのか。
私は、こっそり、子ども達が3歳からやっていた勉強遊びが良かったのだと、改めて感じていました。
教員としての経験、様々な本を読んで知った取り組み、自分なりの工夫やらを、ひたすら子どもに試しました。
子どもは、引っ張り上げれば引っ張り上げるほど伸びると信じていたし、そこに喜びを感じていました。
3歳のお誕生日から始まった、毎朝の勉強・暗記習慣
3歳のお誕生日の朝から、習慣づけは始まりました。
朝起きたら、幼稚園に行くまでに、机に座って勉強する習慣を付け始めました。
内容は、ペーパーと暗記ものです。
ペーパーについては、また別の機会として、ここでは暗記に関することを。
できるだけ早い時期から、脳をたくさん使い、シナプスを作り、広げることが大切だと考えていました。
ペーパーを5-10分取り組んだら、そのまま、暗記大会です。
かかる時間は、だいたい5秒ほど。
とにかく、何でもいいから、毎日ちょっとずつ覚えていくのです。
もう色々やりすぎて、まだまだあったような気がしますが、パッと思い出せるのは、これくらい。
大切なことは、興味があるものは、率先してその時期に覚えてさせること。
子どもが、電車に興味がある時は、ひたすら地下鉄の駅名を覚えさせました。
(大阪在住だったので、大阪市営地下鉄だけでも、かなりの数がありました。)
暗記のコツとやり方
どこかに旅行する時期には、都道府県名や県庁所在地を。
夫の海外出張の時や、学会に付いて海外に行く時は、その大陸の国名を。
雨や冬で、家にこもりがちの時は、ことわざを覚えて、ことわざカルタを。
電車でお出かけが続くなら、その路線の名前を。
絵本にも、寿限無が全文書いてあるものがあるし、小さくても、楽しめる方法はたくさんあります。
意味まで分からなくてもいいし、ただの暗記大会なので、ひたすら繰り返すのみ。
地図を指差しながら、ある日が「ほっかいどーは、さっぽろし」だとしたら、翌日は、「ほっかいどーは、さっぽろし」と、「あおもりけんは、あおもりし」になるだけ。
本人の能力によって、前日のものに加えて、毎日一つずつ増やしていってもいいし、
難しそうなら、毎日同じものを繰り返してもいいし、何度も繰り返して、完全に暗記できてから次に移っても。
確か、うちは、地方ごとに覚えていったような記憶が。
中部地方は大変だけれど、四国地方は余裕!なんて風に。
国語で習った時に、「なんか知ってる!」と感動
ことわざ、慣用句、四字熟語は小学校三年生、百人一首は五年生で、時代区分は六年生で学びます。
私の目的は、主にシナプスを広げることであり、小さいころの暗記は、それぞれの意味までは教えません。
小学校で実際に学んだ時、子ども達は、「なんか聞いたことある!知ってる!」と、初めから興味津々。
そして、先生からそれぞれの意味を学び、「へぇー!」と能動的に学ぶことができるのです。
もし、この段階で初めてその言葉を聞いていたら?
恐らく、「ふーん。難しいな。」で終わっていたかもしれません。
海外在住の私たちにとって、「なじみがある」かどうかは、大きな興味の分かれ目のように思うのです。
小学校四年生で出てくる、都道府県名だって、なじみがない中覚えるのか、「えひめってこう書くんだ!」と、その言葉を知っていて取り組むのとは、大きな違いがあると思います。
中学校一年生で学んだ、「いろはにほへと」を覚える宿題をもらった時、当然のように丸暗記していて驚きました。
3-5歳ころにやっていたものを、全て暗記しているわけではなくとも、残っているものもあるなんてびっくり。
飛び級システム
少し話が逸れます。
現地校の算数で、4年生の時に、飛び級へのチャレンジの機会を頂き、テストを受け、合格しました。
クラスで、20人クラスから、2,3人ほどが合格し、5年生の時に、6年生の算数を学ぶことになりました。
アメリカでは、6年生から中学なので、本来なら中学に行って学ぶことになります。
ですが、地域の小学校の飛び級クラスということでまとめてもらい、朝は別の学校に行って、算数の授業を受けることになりました。
算数が終われば、自分たちの本来の小学校にスクールバスで戻り、続きの授業を受けます。
そして、面白いことが、まだまだ英語では苦労している時期だったので、国語の授業は、下のクラスに移動するのです。
ELDやESLと呼ばれる、英語を母国語としない生徒が集められ、英語の基礎を学ぶのです。
算数は飛び級、国語はELDクラスと、それぞれの能力に応じてベストの教育を受けられるシステムは、本当にありがたかったです。
飛び級クラスで、πをOOO桁覚えて一位?
ある日、子どもが家の中で紙を持ち歩いて、ブツブツ言っているのです。
何をしているのかを聞くと、なんと、円周率を覚えていると。
話を聞くと、こういうことでした。
先生から発表があり、数週間後にπをどれだけ覚えているかのテストが行われるというのです。
そして、これは、飛び級クラスのみに開かれるものであり、通常クラスではないのだと。
そして、優勝者には、パイ(π)に掛けて、パイ(pie)のケーキがもらえるとのこと。
息子は、俄然張り切り、絶対1位を取るとのことで、朝から晩まで、紙を握りしめていました。
そして、当日の結果を聞いて、本当に驚きました。
なんと、160桁を覚え、断トツ1位になったとのことです。
いや、160桁って?
3.14195(私の限界)ーって続くあれを、160桁?え?頭どうなってんの?
飛び級クラスで、ぶっちぎりの1位だったそうで、めでたくライムパイを頂いて、ご満悦そうでした。
覚えることに、前向きに挑戦できる力
教員をしている時にも、散々感じたことですが、勉強ができるできないより大切なことがあります。
頭がいい悪い以上に、そもそも、頑張ろうと思えるか、思えないか。
やりたい、できるようになりたいと思えるか、思えないか。
勉強もスポーツも音楽も、何でも同じだと思うのです。
ちょっと面倒なこと、簡単には越えられない壁、努力しないと達成できないこと。
はっきり言って、人生は、こういったことの連続だと思うのです。
楽しいことだけをやり続けて、何かを達成することはできないし、本当の喜びは手に入らないと思います。
人間関係でも何でも同じです。
人といい関係を築くためには、時にぶつかることがあっても、それを理解して乗り越えることが必要です。
自分の夢や目標の壁にぶつかった時でも、どうにかして越えなければならないことがあるはずです。
子どもが、円周率の暗記大会で、「1位になりたい!覚えたい!」と思えたことが、彼の真の能力。
そう思えたなら、あとはひたすら努力するだろうし、工夫をして、時間を掛けて、やり続けるだけ。
そんな、一見どうでもいい、テストの点数に繋がらないことに対し、全力で臨めたことに、拍手です。
たかが暗記、されど暗記
私は、彼らを尊敬すると共に、昔からやってきた暗記習慣が、役立ったのではと思っています。
毎日、ひたすら意味もないこと(当時は意味を知らなかったので)を、覚え続けていました。
そうしてきたことが、暗記に対する抵抗を感じさせなかったに違いありません。
そして、暗記をして、覚えきった達成感も、何度も感じてきたので、それが喜びに繋がることを知っていたのでしょう。
そんなことに時間を使わなくても、宿題もあるし、楽器の練習もあるし、大丈夫なのか?とも思いましたが、だまって見ていました。
そうして、1位を取って帰ってきたときの嬉しそうな顔。
『やりたいと思って、努力して、結果が出る。』
このどれを削っても、本人の力にはなりません。
一生懸命努力してやったからこそ、喜びが得られるのです。
そして、それを知ってる人間だけが、次の挑戦に挑もうとすることができるのです。
子どもが何歳でも構いません。
子どものシナプスを広げ、子どもの挑戦したいという前向きな力を育てませんか。