About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

暗記は得意ですか?私は、とっても不得意です。だからこそ、子ども達には、「覚える」ことに抵抗がないように育てたいと望みました。小さい時からやっていた、暗記習慣と、それによって得た副産物、「頑張る力」が育った方法をお伝えします。

数字も、歌のようにひたすら暗記。教材は、基本無料のものか手作りで、ぐちゃぐちゃになっても気にしない。

子どもの可能性を、思いきり引っ張り上げる

うちは、双子が小学校3年生、娘が小学校1年生の夏に渡米をしました。

初めは、アメリカでの成績は、ほぼ全て一番下。

Personalという人物評価こそ、認めてくださっていたものの、Language Arts(国語)であろうが、Math(算数)であろうが、英語を全く知らなかったので、当然の結果です。

しかし、その二年後には、アメリカで算数カテゴリーでギフテッドとして認定され、

三年後の6年生(中学1年生)では、現地校でも日本人学校でも、オールAを取ってきていました。


日本人補習校では、ほぼ全員がバイリンガルのため、中学でオールAはなかなか取れないと、先生も驚かれていたそうです。

突然始まったアメリカ生活で、コミュニケーションもままならない中、なぜ成績で困らなったのか。


私は、こっそり、子ども達が3歳からやっていた勉強遊びが良かったのだと、改めて感じていました。


教員としての経験、様々な本を読んで知った取り組み、自分なりの工夫やらを、ひたすら子どもに試しました。

子どもは、引っ張り上げれば引っ張り上げるほど伸びると信じていたし、そこに喜びを感じていました。

3歳のお誕生日から始まった、毎朝の勉強・暗記習慣

3歳のお誕生日の朝から、習慣づけは始まりました。

朝起きたら、幼稚園に行くまでに、机に座って勉強する習慣を付け始めました。

内容は、ペーパーと暗記ものです。

ペーパーについては、また別の機会として、ここでは暗記に関することを。

できるだけ早い時期から、脳をたくさん使い、シナプスを作り、広げることが大切だと考えていました。

ペーパーを5-10分取り組んだら、そのまま、暗記大会です。

かかる時間は、だいたい5秒ほど。

とにかく、何でもいいから、毎日ちょっとずつ覚えていくのです。

  • 地下鉄の駅名
  • 都道府県名
  • 県庁所在地
  • 国旗
  • 世界の国名
  • ことわざ
  • 故事成語
  • いろはうた
  • 百人一首
  • 時代区分

もう色々やりすぎて、まだまだあったような気がしますが、パッと思い出せるのは、これくらい。

大切なことは、興味があるものは、率先してその時期に覚えてさせること。

子どもが、電車に興味がある時は、ひたすら地下鉄の駅名を覚えさせました。

(大阪在住だったので、大阪市営地下鉄だけでも、かなりの数がありました。)

二人は、常にいい意味でライバル関係。どっちが先にできるか、どっちがいい点数、成績を取れるか、ずっと戦っています。

暗記のコツとやり方

どこかに旅行する時期には、都道府県名や県庁所在地を。

夫の海外出張の時や、学会に付いて海外に行く時は、その大陸の国名を。

雨や冬で、家にこもりがちの時は、ことわざを覚えて、ことわざカルタを。

電車でお出かけが続くなら、その路線の名前を。

絵本にも、寿限無が全文書いてあるものがあるし、小さくても、楽しめる方法はたくさんあります。


意味まで分からなくてもいいし、ただの暗記大会なので、ひたすら繰り返すのみ。

地図を指差しながら、ある日が「ほっかいどーは、さっぽろし」だとしたら、翌日は、「ほっかいどーは、さっぽろし」と、「あおもりけんは、あおもりし」になるだけ。

本人の能力によって、前日のものに加えて、毎日一つずつ増やしていってもいいし、

難しそうなら、毎日同じものを繰り返してもいいし、何度も繰り返して、完全に暗記できてから次に移っても。


確か、うちは、地方ごとに覚えていったような記憶が。

中部地方は大変だけれど、四国地方は余裕!なんて風に。

国語で習った時に、「なんか知ってる!」と感動

ことわざ、慣用句、四字熟語は小学校三年生、百人一首は五年生で、時代区分は六年生で学びます。

私の目的は、主にシナプスを広げることであり、小さいころの暗記は、それぞれの意味までは教えません。

小学校で実際に学んだ時、子ども達は、「なんか聞いたことある!知ってる!」と、初めから興味津々。

そして、先生からそれぞれの意味を学び、「へぇー!」と能動的に学ぶことができるのです。


もし、この段階で初めてその言葉を聞いていたら?

恐らく、「ふーん。難しいな。」で終わっていたかもしれません。

海外在住の私たちにとって、「なじみがある」かどうかは、大きな興味の分かれ目のように思うのです。


小学校四年生で出てくる、都道府県名だって、なじみがない中覚えるのか、「えひめってこう書くんだ!」と、その言葉を知っていて取り組むのとは、大きな違いがあると思います。

中学校一年生で学んだ、「いろはにほへと」を覚える宿題をもらった時、当然のように丸暗記していて驚きました。

3-5歳ころにやっていたものを、全て暗記しているわけではなくとも、残っているものもあるなんてびっくり。

飛び級システム

少し話が逸れます。


現地校の算数で、4年生の時に、飛び級へのチャレンジの機会を頂き、テストを受け、合格しました。

クラスで、20人クラスから、2,3人ほどが合格し、5年生の時に、6年生の算数を学ぶことになりました。

アメリカでは、6年生から中学なので、本来なら中学に行って学ぶことになります。

ですが、地域の小学校の飛び級クラスということでまとめてもらい、朝は別の学校に行って、算数の授業を受けることになりました。

算数が終われば、自分たちの本来の小学校にスクールバスで戻り、続きの授業を受けます。


そして、面白いことが、まだまだ英語では苦労している時期だったので、国語の授業は、下のクラスに移動するのです。

ELDやESLと呼ばれる、英語を母国語としない生徒が集められ、英語の基礎を学ぶのです。


算数は飛び級、国語はELDクラスと、それぞれの能力に応じてベストの教育を受けられるシステムは、本当にありがたかったです。

朝から夜まで、ずっと円周率の書かれた紙を持ち歩いて、ブツブツ呟く息子。リズムで覚えているらしく、音楽も一役買っている?

飛び級クラスで、πをOOO桁覚えて一位?

ある日、子どもが家の中で紙を持ち歩いて、ブツブツ言っているのです。

何をしているのかを聞くと、なんと、円周率を覚えていると。


話を聞くと、こういうことでした。

先生から発表があり、数週間後にπをどれだけ覚えているかのテストが行われるというのです。

そして、これは、飛び級クラスのみに開かれるものであり、通常クラスではないのだと。

そして、優勝者には、パイ(π)に掛けて、パイ(pie)のケーキがもらえるとのこと。

息子は、俄然張り切り、絶対1位を取るとのことで、朝から晩まで、紙を握りしめていました。


そして、当日の結果を聞いて、本当に驚きました。

なんと、160桁を覚え、断トツ1位になったとのことです。


いや、160桁って?

3.14195(私の限界)ーって続くあれを、160桁?え?頭どうなってんの?


飛び級クラスで、ぶっちぎりの1位だったそうで、めでたくライムパイを頂いて、ご満悦そうでした。

覚えることに、前向きに挑戦できる力

教員をしている時にも、散々感じたことですが、勉強ができるできないより大切なことがあります。

頭がいい悪い以上に、そもそも、頑張ろうと思えるか、思えないか。

やりたい、できるようになりたいと思えるか、思えないか。


勉強もスポーツも音楽も、何でも同じだと思うのです。

ちょっと面倒なこと、簡単には越えられない壁、努力しないと達成できないこと。

はっきり言って、人生は、こういったことの連続だと思うのです。

楽しいことだけをやり続けて、何かを達成することはできないし、本当の喜びは手に入らないと思います。


人間関係でも何でも同じです。

人といい関係を築くためには、時にぶつかることがあっても、それを理解して乗り越えることが必要です。

自分の夢や目標の壁にぶつかった時でも、どうにかして越えなければならないことがあるはずです。


子どもが、円周率の暗記大会で、「1位になりたい!覚えたい!」と思えたことが、彼の真の能力。

そう思えたなら、あとはひたすら努力するだろうし、工夫をして、時間を掛けて、やり続けるだけ。

そんな、一見どうでもいい、テストの点数に繋がらないことに対し、全力で臨めたことに、拍手です。

優勝者のみもらえるπのパイケーキ。飴一個でも、子どもにとっては、全力で取りに行きたい立派なプライズ!

たかが暗記、されど暗記

私は、彼らを尊敬すると共に、昔からやってきた暗記習慣が、役立ったのではと思っています。

毎日、ひたすら意味もないこと(当時は意味を知らなかったので)を、覚え続けていました。

そうしてきたことが、暗記に対する抵抗を感じさせなかったに違いありません。

そして、暗記をして、覚えきった達成感も、何度も感じてきたので、それが喜びに繋がることを知っていたのでしょう。


そんなことに時間を使わなくても、宿題もあるし、楽器の練習もあるし、大丈夫なのか?とも思いましたが、だまって見ていました。

そうして、1位を取って帰ってきたときの嬉しそうな顔。


『やりたいと思って、努力して、結果が出る。』

このどれを削っても、本人の力にはなりません。


一生懸命努力してやったからこそ、喜びが得られるのです。

そして、それを知ってる人間だけが、次の挑戦に挑もうとすることができるのです。


子どもが何歳でも構いません。

子どものシナプスを広げ、子どもの挑戦したいという前向きな力を育てませんか。

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