子どもはみんなおやつが大好き!
私ももれなく、甘いもの大好きです。毎日食べないと口寂しくなってしまうし、結婚後は、来る日も来る日もひたすらお菓子作りをしていました。
今では、息子が私に変わり、あれこれ作ってくれます。そんな息子だけれど、小さい頃は、市販のおやつに憧れた時期もありました。うちの子育ての、おやつ歴史です。
食パン一斤
子どもが小さい時、マンションに住んでいたため、周りは同級生や近い年齢のお母さんがたくさんいました。
ちょっと一緒に公園で遊んだり、近くへランチへ行ったり、本当に心強い存在。
一緒にごはんに行くと、子どもが食べるものは、皆それぞれ持参していました。
ひじきや小魚、青のりなどの赤ちゃんせんべいを持ってきている子が多かったような。
そして私は、自分の双子の前に、どーんと焼いただけの食パン一斤を置きます。
「え?それ?」と、皆爆笑。
うちの双子は、ほじほじむしりながら、あむあむとほんの少しずつ口に運んでいました。
おかげで静かだし、長い時間集中してくれるし、何より自分で作った安心材料だし、最高のチョイス。
自分で作るーと言うと、何だかできたママのようだけれど、ただ材料を入れてスイッチを押しただけ。

外食時は、パン一斤が、我が家でのお決まりメニュー。バナナやレーズン、きなこでも入れ放題。
「おやつ時間」は特になし
子どもが保育園や幼稚園に通っている頃は、特に家でのおやつ時間はありませんでした。
いや、「甘いもの」という意味の間食時間はなかったーという言葉が適切かな。
なぜかと言うと、必要に感じていなかったからです。
まずは、きっちり三食を食べさせることが大切だと考えていました。
小さいうちは、一気にたくさん食べられないので、栄養補助という意味では、間食は必要。
だけど、それがお菓子である必要性は全く感じませんでした。
ごはんをしっかり食べさせ、おなかが空いたら、ミニおにぎりや果物などを少しだけ。
我が家のおにぎりは、常に茶色か黄色、もしくは海苔でした。
茶色は?小魚を、家でミルにしたものです。
黄色は?黄な粉をまぶしたもので、子どもたちのお気に入りで、保育園の先生にも人気でした。
ただ、私ルールで、外でいただいたり、親戚や友達など、みんなで一緒に食べる時は有難くいただきます。
もう、子どもは、大喜びで大騒ぎ。
よく、お友達にもらったけど食べていい?とマンションのインターホンで聞いてきていたっけ。

この時代の間食の定番おにぎり。それもあって?アメリカで生活をしてからも、おにぎりが一番人気。
ごはんを食べない?
お友達と一緒にごはんを食べると、今でもうちの家族全員の大食ぶりに驚かれることが多いです。
子どもがお友達のおうちでごはんを頂くと、「こんなに食べる子初めて!」と毎度のように言われます。
友達から、自分の子どもがごはんを食べないと悩んでいる話を何度か聞きましたが、手には赤ちゃんせんべい。
間食をゼロにしたら変わるのかなぁと、考えたこともありました。
うちの家で、ごはんを残したら、次のごはんは、その残したものから始まります。
時に、変な時間に甘いおやつを食べ、もしごはんが食べられなかったら、必ず寝るまでに全て食べさせます。
もちろん、好き嫌いのある子もいるし、その量は私の判断で、「頑張ったら食べられる量」を考えています。
私が考える、子どもに必要な栄養素を考えて料理しているのだから、まずはそれを全部食べること。
とにかく、三度のごはんが一番大切。
そして、栄養補助食品としての間食は、甘いものである必要はないと思っていました。

中学生になっても、特別な日には、やっぱり「おにぎり作って!」の一言。今では息子も、娘も家族の分を握ってくれます。
「絶対のぞみさんの家やと思った!」
数年経ち、小学校学童でのこと。
おやつタイムが毎日あり、家から自由に持って行っていいとのことでした。
我が家は、さつまいもやおにぎり、そしてコーンや枝豆。
そこで面白い事件が起こります。
友だちのお母さんから連絡が来て、「もしかして、こんなおやつ持って行っている?」と聞かれたのです。
「やっぱり!うちの子が、僕もあんなおやつがいいと言ってきて、さつまいもにしてと言われてさぁ。」と。
「絶対のぞみさんの家やと思ったわ!」と大爆笑されました。
そう、市販のおやつを毎日楽しんでいた子が、うちの超シンプルおやつを見て、羨ましがったのです。
その後、小さなグループで、さつまいもや枝豆おやつがしばらく流行っていたそうです。
そして、当然のように、うちの子どもたちも、やがて、お友達のおやつが羨ましくなっていくのです。
「こんな形で、こんな色で、こんなんで・・・」と私に訴えてくるようになりました。

毎日のごはんでも、まずは野菜スープから。「おかわり!おかわり!」の大合唱が、毎日幸せです。
これが食べてみたかってん!
さぁ、我が家にも、とうとうこの時が来ました。
一生、子どもの体におやつを入れないつもりは全くありません。
ただ、子どもが自ら望むまでは、親から与える必要はないと思っていただけ。
そして、その時期ができるだけ後ろに来るように、考えて生活していました。
万を持して、子どもを、スーパーのおやつコーナーに連れていきました。
(それまで、買い物はほぼ連れて行かず、おやつを買いに行ったこともありませんでした。)
もう、目は輝いて、飛んで跳ねての大盛り上がり。
「これが食べてみたかってん!」
と、100円ほどのお菓子をにぎりしめて、涙ぐみそうな表情です。
この状況を見て、かわいそうな子だと思いますか?
私は、もう一人で笑えてくるわ、成長を感じて感慨深くもなるわ、なかなかいい光景でした。

商店街への「家族遠足」で、自分のお金で好きな物を買っていい日。憧れのソフトクリームとのご対面に、少々緊張気味?
地域のスポーツ祭りで取り上げられなかった意見
日本に住んでいる頃、小学校で、「親子の集い」のようなイベントが開かれました。
子どもたちが、様々な種目のスポーツを楽しみ、PTAによる縁日のお店も出て、大盛況でした。
私もお手伝いしていたため、終了後にアンケートが配布され、気になった点を書きました。
「スポーツゲームを楽しんだ後、もらえるお菓子が全て飴かうまい棒だった。昆布はどうでしょう。」
というような内容です。
駄菓子を否定するつもりも全くないし、確かに子どもは喜ぶでしょう。
だけれど、本当のうま味を感じられる昆布や煮干し、干し芋も面白いのではないかと思ったのです。
まぁ想像通り、一切取り上げられることなく、翌年も同じように駄菓子が配られたのですが。
様々な場面で、子どもに本当に必要な栄養素を与える機会は、多ければ多いほどいいように思います。
もしかしたら、ふと口にした昆布や煮干しで、そのおいしさにハマる子がいるかも。
うちの実家に遊びに行くと、子どもはおばあちゃんによく昆布や煮干しをもらっていました。
その話を、今になっても時折、「美味しかったなー。」と話しています。
夫方の実家では、義父が育てた果物や、手作りの羊羹や甘酒を頂き、うなる美味しさです。

親戚の家で、煮干しをおやつにもらう子ども。海外に住んでいる他のいとことにも大人気で、大袋が一瞬でなくなります。
煌びやかなお菓子より日本のさつまいも
子どもがそれぞれ小学校三年生、一年生で渡米し、アメリカの学校に通い始めました。
給食メニューは、「ハンバーガー、ホットドッグ、サンドイッチ、ピザ、アイス」などが並びます。
もう大興奮で、数週間楽しむも、やがて「やっぱりお弁当作って。」と言い始めます。
当時コロナ禍で、給食は無料でした。
「給食だと楽なのにー。」と思いながらも、あまりにも喜んでくれるので、頑張って続けています。
(ちなみに、日本レベルの、栄養バランスが取れた、美しい色とりどりのお弁当とはかけ離れています。)
お菓子に対しても、もれなく同じことが起こりました。
初めは、いかにもアメリカぽい、目にも鮮やかなかわいいデザインのお菓子を、次々と試してました。
が、すぐに「甘すぎる。」「砂糖の味しかしない。」と言い、すぐに手作りお菓子生活が始まりました。
だけど、私もそう毎日手作りのおやつを作ることはできません。
すると、「おやつがない」状況を打破すべく、息子は、お菓子作り担当大臣に、自ら名乗りを挙げました。
嬉しいことに、息子はめきめきと腕を上げていきます。
今では、ういろう、入り豆、スコーン、メロンパン、ぜんざい、あんまんなど、何でも作ってくれます。
そして、日系スーパーで買ってくる物のリクエストは、いつも「さつまいも」です。
「これが一番の贅沢やー。」と言いながら、小さいころと変わらない笑顔で、さつまいもを頬張っています。

実は、アメリカ人にも人気がある、メロンパンという名の、クッキーパン。みんな大喜びで飛びつきます。
子どもの舌を育てるのも親の教育
駄菓子も、スーパーに売っているお菓子も、どれも大好きだし、日本に帰ると喜んで食べます。
それが良くないという話ではありません。
ただ、子どもの舌を育てるのも、親の大きな役目の一つだということ。
みんなが食べてるから、周りが持っているからーで真似をする必要はありません。
自分が、自分の子どもに必要だと思うものを、自分の考えに基づいてあげればいいんです。
この食料過多(やがて食料危機は確実に来るでしょうが)の時代、甘いものはどこまで必要でしょうか。
子どもが小さいほど、エネルギー補給のために必要なものは何なのかを、自分で考えることが大切です。
名前をプレゼントした後の最大のプレゼントは、味覚だと言われています。
周りの子が持ってるから、同じようにあげますか?
流行っているものだから、子どもに食べさせますか?
それは、周りと同じであることを求める思考まで贈ることになってしまいます。
自分の子どもに、最大の贈り物である健康な体を、私たち親の力で贈りたいものです。