About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

「ピンポーン」マンションのベルが鳴ったら、それは、息子の同級生が、うちのお父さんを呼ぶメッセージでした。「お父さん遊べる?」と、同級生の目的は、お父さん。「OOと△△も遊べる?」とついでに呼ばれる息子たち。お父さんは、全力で一緒に遊んでくれる、子ども達の人気者だったのです。

遊ぶことは生きること

まさにその通りです。

外で全力で遊ぶことは、あらゆる能力を育てるし、子どもの成長に必ず必要な時間です。

よちよち歩きの子どもが、目についたところまで歩いていき、気のすむまで触ったり眺めたり。

少し大きくなってきて、土をいじったり、昆虫をじっとながめたりツンツンしてみたり。

娘はちょうどその頃、中庭の隅っこに座って、蟻を食べていたっけ。


やがて成長してくると、友達と一緒に走り回ったりボール遊びをしたり、その時間は最高に輝いています。

親が関われるうちは、できるだけ一緒になって時間を過ごしたいもの。


「いつまで続くんだー。早く家に帰ろうー。」と思う気持ちももちろん分かります。

私もずーっとそう思っていました。

だけど、終わってみると、本当に終わりがくるんだと、今になれば思えます。

子どもが興味ある外の世界に連れ出し、様々な刺激を与えてあげるのは、何よりの時間です。

マンションの中庭にお父さんがいると、「あそぼー!」と子どもたちが寄ってきます。アイドルのような生活。

使える手は全て使う

子どもが小さい頃は、マンションに住んでいたので、そこここに子どもの同級生やお友達がいました。

そこで、お友達に厚かましく提案していました。

「30分交代で見よう!」などと話し、順番に家で用事をしながら、順番に互いに子どもを見ながら遊ばせるのです。

貸しっぱなし借りっぱなしは、どちらにとっても心地良くなくなることもあり得ますが、これなら大丈夫。

「この前見ててもらったから、今日はちょっと見ておくよー。」と、お互い様。


そして、忘れてはいけないのが、お兄ちゃんお姉ちゃんの存在。

それなりの年齢になれば、「一緒に遊んであげてー。」と、よくお願いしていました。

もし何かあれば、すぐにインターホンを押してもらえば飛んでいけます。

預けたからには、怪我などの責任は預けた私たち親の問題ということは理解して。


少々の怪我より、こんな経験は、互いのためになると信じています。

自分の子が大きくなってきた時には、自分より小さい子を一緒に見たりしていました。

わが子も、小さい子をあれこれ必死で楽しませて遊んであげようとするのです。

そうして、互いに近所のつながりを増やしていき、互いに助け合える環境を作ってきました。

そこにあるものが、一番のおもちゃ。お父さんが双子にやってあげてる姿を見て、ほかの子たちも、「やってー!」と寄ってきます。

小学生の人気者のお父さん

マンションのインターホンが鳴れば、子どもの同級生です。

「お父さん遊べる?」とよく言われました。

「OOと△△も遊べる?」とついでのように、子どもも誘ってくれます。

そうなれば、お父さんの出番です。

サッカーやドッヂボール、鬼ごっこや名前のない遊びを、毎週のようにやっていました。


グループが分かれる時も、お父さんは取り合い。

「俺のチームやで!こっちやで!」と大騒ぎ。

恐らく、双子の息子も鼻が高かったと思います。

よく、家族で外出する時も、友達に会うと、「何時に帰ってくる?」と言われていました。


外で全力で遊び、家に帰ってバタンと電池切れしてしまうお父さん。

心から、お疲れ様のエールを送っていました。

左は娘で、右は、、、誰だろう?そこらへんにいた女の子かな?

子どもと全力で遊ぶために

何となく、双子の男の子は夫が、二歳差の娘は私が見ることが多かったので、基本的に役割分担でした。

ですが、私もたまには参加して、一緒に走り回って、マンション中を駆け巡っていました。


私の中で、子どもと真剣に遊ぶコツがありました。

それは、ジャージを着て、運動スニーカーで外に出ること。

当然、いい服を着てパンプスでは走れる訳がありません。


もう、運動するぞ!の恰好で出て、スポーツジムの替わりに、全力で走り回るのです。

小さい子どもがいる間は、なかなかジムに行く時間も自分磨きの時間も取れません。

それを、子どもも喜ばせ、自分もスポーツできるとなれば一石二鳥です。


マンションにジムがあり、子どもを連れて行くこともありましたが、所詮子どもと行くと、運動できません。

それならばーと、日々の遊びで、ジャージにスニーカーで遊ぶことこそ、私のジム時間でした。

大人になってから始めたマラソン。大阪国際女子のハーフには毎年、フルも何度か挑戦。

遊びの天才

アメリカに来て、様々なご家族と出会いました。

男性二人で子育てしているおうち、男親女親がいるけれど、専業主夫をしている家庭など。

その中で、とても魅力的な、遊びの天才のお父さんと知り合いました。

何より、体を動かすことを大切にされているお父さんの全力遊びは、本当にプロレベルです。


学校から帰ってきたら、最低三種類の遊び道具を準備しておくそうです。

そして、その時の子どもの気分で、どれかを選ばせ、あとは寝るまで遊び続けます。

毎日公園や近所を走り回り、ボール遊びや縄跳び、鉄棒やローラースケートなど、ひたすら遊びます。

子どもたちの身体能力は、周りに比べて目に見えて高く、いつも活気に満ち溢れている親子でした。


そうなると、何のスポーツを習わせても、初めの段階から優位だし、上達も早いです。

それが、結果として子どもの自信となり、何をやっても前向きで楽しめる子どもとなりました。


普段はできるだけ車もバスも使わず、ひたすら走るか自転車。

週末ごとに山や川、海に連れて行き、素潜りも天才級です。

ここまで極めることはなかなか難しいけれど、私にとってあこがれの子育てをされる大切なお友達です。

大好きなお友達家族と。川に潜ったり、おたまじゃくしと戯れたり、あとは陸上でひたすら鬼ごっこ!

親が一番の教育者

私は、習い事にはお金を掛ける価値があると思っています。

相性のいい先生を探し、人としても魅力的な人のもとで学ぶことは、価値ある時間です。

ただ、どんな高額で有名な習い事の先生より、特に小さいうちは、親が一番の先生。

レベルが高くなってくると難しいでしょうが、初級レベルなら、教えらえることも多いはず。

一番子どもを理解しているのも、一番子どものことを考えているのも、他人ではなく親なのだから。


サッカーや習字、絵画や音楽、勉強など、ちょっと一緒にやってみて、そこから興味を引き出すのもひとつ。

実の親子では、ぶつかることや、うまくいかないことも出てくるかもしれません。

だけれど、本気で伸ばしたければ、親に勝る人はいないと思っています。


私は、子どもに、日本語の勉強全般と算盤、ピアノ、歌、聴音などを教えています。

夫は、子どもに、英語と算数の勉強、物理、様々な実験、DIYなどを教えています。


皆さんそれぞれ得手不得手はありますが、遊びは、やる気になれば一緒にできることです。

時折開かれる、お父さん塾。長期休暇に、数学などの特訓を受けます。「教え方がうまい」と、子どもから好評。

やがて終わるその日まで

仕事も家事も子どものあれこれも、妻としても女としても親としても、とにかく忙しい毎日ですよね。

それに加えて、全力で遊ぶなんて無理!

時間がない!!


そういう気持ちが起こることも、もちろん分かります。

私もそうでした。

だけど、いつも、ずーーっと全力で子どものことをしようという話ではありません。

週に一回30分でも、毎日10分でも、とにかく子どもに真剣に向き合う時間は貴重だと思います。


これが一生続くんじゃないかと思うこともありますよね。

ただ、終わってみて初めて分かるのですが、子どもが中学生にもなれば、一緒に遊ぶ時間はなくなります。

今日、うちは突然の大雪で、学校が急遽お休みになりました。

まだ小学校の娘は、「おかあさーん」と何度も何度も呼ばれて、「一緒に遊ぼう、見てて!」と言われます。

ですが、中学校の息子は、外に出たくても自分で出るし、本を読んだり、用事をこなしたりしています。

あぁ、たかだか10年少しで、子どもと密に過ごす時間は終わるんだなぁと、再確認しました。


私の人生(全うすれば)80年ほど?のうちの、たかだか10年ほどです。

ちょっと自分のやりたいことを二番三番に下げ、携帯を手から放して、子どもと向き合うことも、素敵です。

誰よりも高く上げてくれるお父さん。子どもの反応は、ちょっと、、、怖そう?

遊びは全てを育てる

遊びは、子どもの全てを育ててくれます。

学校の先生より、習い事の先生より、机上の勉強より、もしかすると親以上かもしれません。

親が子どもに与えてあげる一番大きなものは、愛情です。

だけれど、子どもの頭や心、そして体までをも全てを育てられるのは、遊びです。


子どもの楽しめることを一緒に楽しむ。

子どもが見ているものを一緒に見る。

子どもがウキウキすることを一緒にウキウキする。


たかだか10年ほどの中で、子どもを一番伸ばすことができる遊び、一緒に楽しむのもまた子育ての醍醐味です。

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