About the Author

元国立大学附属中高教員。心を育て、人と人をつなぐ教育プログラムを開発・実践。
2019年に渡米し、アメリカでNozomi Music Schoolを開校。
頭も体も心も、子どものもつ可能性を最大限に高めたい!!

子どもの脳を育てるためには、好きなことを存分させてあげるのがいい。

ーこれは、皆さんあちこちで聞かれたことがあるかと思います。

例えばどんなことを、どんな風に、どこまで追求するのか。

我が家では、こんなことを楽しんでいました。

生活の中心は、これで回っている

チャララランランララーラランランラン・・・(♪)

来た!急げ!早く!

(これで分かれば、うちの子たちと同じ楽しみを持たれてたお子さんなのだと思います。)


そう、週二回やってくる、憧れのごみ収集車が近づいてきた音。


うちは世帯数の多いマンションに住んでいたため、30分は滞在してもらえます。

朝のあれこれを終えたら、窓を全開にして、その音が聞こえると同時にごみステーションまで走っていきます。

だって、一刻も早くその姿を拝みたいんだから!

私たちの生活は、ごみ収集車を中心に回っていました。


まだ言葉もあまり出ない時期でしたが、目をキラキラさせて、ごみ収集車を見つめ続けるのです。

全て回収されて、ようやく一日の最大任務が完了・・・だと思うと、甘いです。

そこから私は本気モードになり、双子ベビーカーに二人を放り入れ、次の場所へと全力疾走です。


私は、この頃、その地域のごみ収集車のルートと曜日を、ほぼ完ぺきに把握していました。


ラッキーだったことに、マンション数もわりと多く、それぞれの停車時間は割と長いのです。

走っては追いついて見て、また走っては次の収集場所へ向かい・・・。


これに生きがいを感じ、今日は何か所見れたかを、最大数を目指して毎回自分と戦っていたものです。

毎度、どこまでも走って追いかけてくる双子と母を、収集車のお兄さんが覚えてくれるまで、そう時間は掛かりませんでした。

デビューは双子ベビーカーで。やがて娘が産まれてからは、二人を走らせてまで、この戦いは続いていました。

初めてのラブレターは、収集車のお兄さんに

ほどなく、「また来たか。」と言われ、挨拶をする間柄になり、お兄さんは、隠されたパワーを発揮するようになります。


まるで大道芸人のようなパントマイムで、クルクル踊って回りながらゴミを運んだり、投げたり、重量級を持ち上げるような演技をしてみせてくれるようになりました。

それを見ながら、ますます無言で喜ぶ子どもたち。(無表情でしたが、確かに喜んでいました。)

私の感謝は、湧き上がる一方でした。


ーよし、気持ちは言葉で伝えないと伝わらない。

子どもと一緒に感謝の手紙を書き、どれくらい大好きかを伝え、手作りのお菓子と共に、お兄さんに届けました。

すると驚くことに、お兄さんから間もなく返事を頂いたのです。

そうして、文通が始まりました。


クリスマスだったか、二人の誕生日だったか?には、なんとプレゼントまで頂きました。

「今までこんな年の子どもにプレゼントをしたことがないから、何がいいのか全く分からなかった。」

と言いながら選んでくれたのは、いくつかのおもちゃと、まだ数年はできなさそうなパズルでした。

とても悩みながら選んでくれたことが、すぐに伝わってきました。


どれくらい続いたのか、ある時、お兄さんから別の場所に移ると告げられ、その関係は終わりました。

(春だったように記憶しています。)

パズルは、まだ数年先までできないもの。きっと、色々探し回ってくれたんだろうなぁ。

今でも忘れられない文面

いくつかやり取りした手紙の中に、こんなことが記されていました。


「自分が育った家は、いい親でなく、今では会うこともなく、兄弟とも交流がない。

家族にもいい思い出がなく、子どもにも興味がないが、いつも見に来てくれるのが嬉しかった。

注目されることもなかった仕事で、子どもが喜んでくれるたのが嬉しかった。」


というような内容でした。


丁寧に一字一字書いてくれたであろうその手紙を読んで、涙が出たことを覚えています。


「ありがとう。」を言葉にして伝えて良かったと心から思いました。


こちらが勝手に興味をもって見ていたことを、疎ましく感じず、ますます喜ばせることを考えてあれこれやってくれる優しいお兄さん。

子どもは覚えていないでしょうが、全ての人に感謝する気持ちは、成長した今、確かに感じてくれています。

お友達とのランチやお茶より収集車

お友達:「久しぶりにランチしよう!O曜日の昼どう?」

私:「収集車の日だから、△曜日のほうがいいなー、もしくは収集がO時に終わるから、それ以降なら!」


友達との約束も、色々な用事や作業も、全ては、収集車のスケジュールを元に埋めていっていました。

子どものワクワクする時間を一番に、それを中心に生活を決めていたのです。(たぶん年単位で。)


この精神は、子ども達が大きくなっても変わらず、どれだけ子どものワクワクを引き出すかは、何より大切にしています。

家中の傘を集めておうち作り。壊れた傘ももちろん保管しておいて、大豪邸の完成。ステイホーム中のいい遊び。

10分没頭できるものは、その人の運命を握る

心理学のどこかにあった言葉ですが、まさに。

子どもがちょっと興味を示したことは、できるだけ自由に好きなだけさせてあげる。

お絵描き、パズル、ボール遊び、鬼ごっこ、縄跳び、水遊び、お料理、絵本、音楽、電車、虫探し・・・

何でもいいんです。全部が、子どもの世界を広げます。


まさか、「いつまでやってるの。いい加減他のこともやってみたら?」なんて、止めないでください。

できれば、さらにその先のことまでさりげなく提示してあげ、興味をより突き詰められる環境を作ることが大事。

270個のくす玉作り。色々なピースから様々な形を作っていました。日米協会折り紙コンテストで2位。

日米の教育の大きな違い(得意分野を伸ばす??)

日本は、全ての教科を、まんべんなくそれなりの点を取ることを求められます。

欠点を取りそうなら、とりあえず一番苦手なものを、何とか引き上げるように指導されたこと、私もあります。


アメリカって違うんです。

一番いいものをとにかく褒めてもらって、それをグングン伸ばしていくことを応援してもらえます。


高度成長期、世界に追いつけで、与えられたことを確実に進めることが大切とされた時代は確かにありました。

でも今は違います。


それぞれがそれぞれの得意分野で活躍し、勉強が苦手でも、自分のこれだというところで、輝くことが必要です。

大学受験に有益か、将来安定した仕事を得るのに役立つかーそんなこと、どうだっていいんです。


世界を見渡してください。

トップで活躍し輝いている人は、日本のような、平均的な素質をもった人ではないことにすぐ気づくはずです。


子どもの、あれしたい!これしたい!楽しい!面白い!に、たくさん気づきましょう。

そして、心がワクワクする時間を一緒に楽しみましょう!

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