実体験は、その子の頭と心の豊かさを最大限高めると信じています。
本やテレビ、インターネットから、様々な情報を得ることは簡単ですが、経験したものには敵いません。
百聞は一見に如かずーとは、よく言ったものです。
子どもと一緒に、新しい経験を楽しみ、色々なところに連れて行ってもらいましょう。

毎年やっていたタケノコ狩り。自然と、竹に注目するようになり、伸びていく変化を見ては驚いていました。
残念な結果になった「はやぶさ」乗車
日本では、大阪に住んでいました。
夏休みの旅行は、アミューズメントパークより、何かしら学びになる経験に、時間とお金を使っていました。
その頃、子どもが最も興味があったものは、電車の中でも特にはやぶさでした。
東京ー仙台方面で運行している、日本最速で走る新幹線。(当時の話です。)
子どもが、ずっと乗りたいと言っていたので、その夏のメイン旅行先(電車ですが)に選びました。
大阪からはるばる新幹線で東京まで行き、はやぶさに乗って、ついでに大宮の鉄道博物館に行こうと決めました。
子どもが、日本最速と言っていたので、私も何だかウキウキして、期待は膨らむ一方です。
いよいよ乗車!!
そこで、ケイタイ片手に、夫が小声でつぶやきました。
「大宮までは日本最速じゃない。」と。
「え?何?どういう意味?」と私。
どうやら、東京ー大宮までは、距離が近すぎて、そこまでの時速が出ないというのです。
320km/h(宇都宮ー盛岡)、110km/h(東京ー上野)、130km/h(上野ー大宮)
「ちょっと待って。大宮で降りるなら、特急レベルしか出ないってこと?」
自分たちの調べ不足に啞然としながら、いざ出発した憧れのはやぶさ新幹線。
期待で胸いっぱいの子どもたちに伝えることができず、黙っていましたが、外を見ると、明らかな遅さ。
普段乗っているJRや地下鉄と、あまり変わらない窓からの景色。
子どもは一瞬で気づき、事実を知って落胆。
残念ながら、次回へのお預けとなりましたが、私たちの本気(実体験をさせたい)想いは伝わったと信じたいです。

電車好きなら誰でも憧れる構図?ありとあらゆる電車に会いに行っていた頃。
絵本からもたくさんの実体験に繋げる
何も、こんな風にお金を掛けなくても(事実、結果価値のない出費となりました。)実体験はできます。
赤ちゃんの本から、果物や野菜、乗り物を実際に見せる、体験させる。
食べ物の本から、一緒に作って食べてみる。
自然に触れたり、工作してみたり、ほとんどのものは、身近なもので体験できるはずです。
我が家も、釣りや忍者体験をしたり、絵本で見たピクニックのお弁当を作ってみたり、要は子どもが、
これをやってみたい!
と、心がワクワクすることと、
できた!すごい!楽しい!
と、達成感を得られることを与え続けることが大事なのです。
後々、子どもの心に残っているのだと驚いた、うちでやってみた実体験は、商店街散策でした。
商店街の絵本を読んで、みんなで商店街に行ってみよう!と出掛けた先は、
日本一長いと言われる、全長2.6kmの天神橋筋商店街でした。
子どもたちは、おそらく商店街に行ったことがなく、専門店と言われても、ピンと来ていないようでした。
金物屋さん、刃物屋さん、豆腐屋さん、きもの屋さん、はんこ屋さん、結納専門店など。
私でさえ、あまり目にしたことがない専門店。
5年経っても、車で近くを通る度、「ここ来たやんな。」と話してくれ、子どもの心に残っていることが印象的でした。
(お小遣いを握りしめて、パンやアイスを好きなように買ったことのほうが、記憶に残るきっかけだったのかもしれませんが。)
そのついでに立ち寄った、「住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館」も、とてもいい経験になりました。
実体験をしたい皆さんにおすすめです!!

天神橋筋商店街。自分のお金で、自由に食べ歩きをした初めての記念すべき家族遠足の日。
子どもに見せたいものリストに対するアンテナ力
もちろん、本を読んでいたりして、これは見せたいけれど、すぐには難しいということもあります。
だけれど、大事なことは、頭の中の「見せたいものリスト」に残しておくこと。
そして、アンテナを張り巡らせておいて、情報を受け止める力を、ピーンと立てておくこと。
我が家でもありました。
ある年、読書感想文の課題図書で出てきた
「活版印刷屋さん」
これは、ハードルが高かったです。
だけど、どうしても子どもに見せたい、伝えたい。
するとなんと、その夏に出かけた旅行先の和歌山県で、たまたま見つけたのです!!
既に廃業しておられましたが、感動のあまり、思わず中に入れてもらって、見学させてもらいました。
京都の有名観光場所ももちろん素敵ですが、私は、街中にある、古い佇まいのお店にも目を光らせます。
竹細工のお店を発見し、作っておられるところを見学させてもらうことはもちろん、
厚かましくも、母屋の奥を見学させてもらい、竹をお土産に頂いたのも、いい思い出です。
その場所ならではの雰囲気やたたずまい、空気感や実体験を通して初めて、本の文章や、テレビのアナウンスを深く味わえるようになるのだと思います。

廃校となった学校で、版画を使った新聞作りを体験。大人でもとっても面白い!
国語の教科書(物語)の読解も実体験風で!
娘は、日本語が苦手。
英語の方が得意になっているので、日本の当該学年の教科書の読解は難しいです。
私がいつもやるのは、物語を読みながら、実際に娘と劇をしながら読み進めるということ。
「ごんぎつね」「山ねこおことわり」「モチモチの木」などの物語はもちろん、
「わたしと小鳥とすずと」「夕日がせなかをおしてくる」などの詩の理解にも繋がります。
「世界一の話」(北 彰介さん)をご存知ですか?
これも、ただ読むだけでは、意味が分からず(そりゃ青森弁だもの。)億劫に感じていた娘。
互いに、おおわしやえびになりきって、「バホラバホラ」と演じると、とても喜び大笑いで理解していました。
できるだけ自分自身の中に、あらゆる体験を落とし込むこと。
国語やらの成績だけでなく、きっと心をより豊かにしてくれると思います。

お出掛け先で見つけた、念願の機織り機。持ち手の木のつるっとした感触に感動。
大人こそ実体験を楽しもう
私は今まで、自分の興味ある範囲の中で、生きてきました。
それが、子どもをもつことで、自分の世界がググっと広がったのです。
今まで全く興味のなかった、子どもの興味の先になる釣りやスポーツなどに、新しい感動や喜びをたくさん教えてもらったのです。
実体験を通して、より人生が豊かになるのは、子どもよりむしろ私の方かもしれません。
いつもありがとう。